新着記事 PR

抗原検査キットを販売するときに押さえてくべきルール

記事内に商品プロモーションを含む場合があります

この記事は2021年11月18日以前に書かれたものです。2021年11月19日に販売におけるルール変更の協議がなされることがあるので、新しい情報に注意しましょう。

この記事の背景

30分程度で結果が分かる新型コロナウイルスの抗原検査キットについて、厚生労働省は体調が気になる場合に自宅などでみずから検査を行えるようにするため、薬局での販売を特例的に認めることになりました。2021年9月27日以降では「医療用」検査キットが薬局で販売されることになります。

この医療用検査キットですが、医薬品医療機器法の「薬局医薬品」に該当します。皆さまは「薬局医薬品」の販売ルールはしっかりと理解できているでしょうか。

今回の検査キットは「薬局医薬品」の販売ルールのうち一部に緩和ルールが適応されているのでそれも併せてチェックを行いましょう。

医薬品の分類と販売ルール

薬局医薬品とは何か

医療用医薬品薬局製造販売医薬品に分けられます。体外診断用医薬品は医療用医薬品のために処方箋医薬品以外の医療用医薬品に該当する。

医療用医薬品

医療用医薬品の分類は2つに分けられます。

医師の処方箋のみで販売が行える「処方箋医薬品」と、零売等で販売が行える「処方箋医薬品以外の医療用医薬品」となります。

薬局製造販売医薬品

薬局の設備及び器具をもって製造し、その薬局において直接消費者に販売し、又は授与する医薬品が該当します。

医療用医薬品の販売

法的な根拠は何か

平成26年3月18日:薬食発0318第4号

一般用医薬品の販売による対応を考慮したにもかかわらず、やむを得ず販売を行わざるを得ない場合などにおいては、必要な受診勧奨を行った上で、第3の事項を遵守するほか、販売された処方箋医薬品以外の医療用医薬品と医療機関において処方された薬剤等との相互作用・重複投薬を防止するため、患者の薬歴管理を実施するよう努めなければならない。

第3の事項とは

1.販売数量の限定

医療用医薬品を処方箋の交付を受けている者以外の者に販売する場合には、その適正な使用のため、改正省令による改正後の薬事法施行規則(昭和36年厚生省令第1号。以下「新施行規則」という。)第158条の7の規定により、当該医療用医薬品を購入し、又は譲り受けようとする者及び当該医療用医薬品を使用しようとする者の他の薬局開設者からの当該医療用医薬品の購入又は譲受けの状況を確認した上で、販売を行わざるを得ない必要最小限の数量に限って販売しなければならない。

2.販売記録の作成

薬局医薬品を販売した場合は、新施行規則第14条第2項の規定により、品名、数量、販売の日時等を書面に記載し、2年間保存しなければならない。

また、同条第5項の規定により、当該薬局医薬品を購入し、又は譲り受けた者の連絡先を書面に記載し、これを保存するよう努めなければならない。

3.調剤室での保管・分割

医療用医薬品については、薬局においては、原則として、医師等の処方箋に基づく調剤に用いられるものであり、通常、処方箋に基づく調剤に用いられるものとして、調剤室又は備蓄倉庫において保管しなければならない。

また、処方箋の交付を受けている者以外の者への販売に当たっては、薬剤師自らにより、調剤室において必要最小限の数量を分割した上で、販売しなければならない。

4.その他

(1) 広告の禁止

患者のみの判断に基づく選択がないよう、引き続き、処方箋医薬品以外の医療用医薬品を含めた全ての医療用医薬品について、一般人を対象とする広告は行ってはならない。

(2) 服薬指導の実施

処方箋医薬品以外の医療用医薬品についても、消費者が与えられた情報に基づき最終的にその使用を判断する一般用医薬品とは異なり、処方箋医薬品と同様に医療において用いられることを前提としたものであるので、販売に当たっては、これを十分に考慮した服薬指導を行わなければならない。

(3) 添付文書の添付等

医療用医薬品を処方箋に基づかずに3.により分割して販売を行う場合は、分割販売に当たることから、販売に当たっては、外箱の写しなど新法第50条に規定する事項を記載した文書及び同法第52条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うなどしなければならない。

医療用医薬品の販売の際に注意する事項

陳列をしている

第十四条の二(薬局医薬品の貯蔵等)

薬局開設者は、薬局医薬品(薬局製造販売医薬品を除く。)を調剤室(薬局等構造設備規則(昭和三十六年厚生省令第二号)第一条第一項第十号に規定する調剤室をいう。 )以外の場所に貯蔵し、又は陳列してはならない。

販売記録などがない

第十四条(医薬品の購入等に関する記録)

薬局開設者は、薬局医薬品、要指導医薬品又は第一類医薬品(以下この項において「薬局医薬品等」という。 )を販売し、又は授与したとき(薬局開設者、医薬品の製造販売業者、製造業者若しくは販売業者又は病院、診療所若しくは飼育動物診療施設の開設者に販売し、又は授与したときを除く。第五項及び第六項並びに第百四十六条第三項、第五項及び第六項において同じ。)は、次に掲げる事項を書面に記載しなければならない。

  1. 品名
  2. 数量
  3. 販売又は授与の日時
  4. 販売し、又は授与した薬剤師の氏名並びに法第三十六条の四第一項若しくは第三十六条の六第一項の規定による情報の提供及び指導又は法第三十六条の十第一項の規定による情報の提供を行つた薬剤師の氏名
  5. 薬局医薬品等を購入し、又は譲り受けようとする者が、法第三十六条の四第一項若しくは第三十六条の六第一項の規定による情報の提供及び指導の内容又は法第三十六条の十第一項の規定による情報の提供の内容を理解したことの確認の結果

薬局開設者は、第一項の書面を、記載の日から三年間、前項の書面を記載の日から二年間、保存しなければならない。

本人以外に対して販売を実施している

第三十六条の三(薬局医薬品の販売に従事する者等)

薬局開設者は、薬局医薬品を使用しようとする者以外の者に対して、正当な理由なく、薬局医薬品を販売し、又は授与してはならない。

対面販売をしていない、登録販売員や事務員が販売している

第三十六条の四(薬局医薬品に関する情報提供及び指導等)

薬局開設者は、薬局医薬品の適正な使用のため、薬局医薬品を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において医薬品の販売又は授与に従事する薬剤師に、対面により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面(当該事項が電磁的記録に記録されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを含む。)を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

今回の検査キットの販売での特別ルール

販売ルールの変更点

新型コロナウイルス感染症流行下における薬局での医療用抗原検査キットの取扱いについてhttps://www.mhlw.go.jp/content/000836277.pdfを参照にしましょう。

第2 薬局において販売する場合の対応
○ 販売に当たっては、使用しようとする者(同居家族等を含む。)に対し販売することとし、以下の対応を適切に行うこと。

今回は薬局医薬品でありながら同居家族にも販売が可能であることが明記されています。つまり上記に挙げた3つの注意事項のうちの一部が緩和されたルールが適応されています。

販売する際に流れ

新型コロナウイルス感染症流行下における薬局での医療用抗原検査キットの取扱いについてhttps://www.mhlw.go.jp/content/000836277.pdfを参照にしましょう。

STEP 1:使用者に対する説明

別添1を用いた説明を十分に行いましょう。

STEP 2:使用者に渡す書類

販売に当たっては、外箱の写しなど薬機法第 50 条に規定する事項を記載した文書及び同法第 52 条に規定する添付文書又はその写しの添付を行うこと。バラ売りする際には包装に記載が行われているのか確認が必要になります。

第50条 医薬品は、その直接の容器又は直接の被包に、次に掲げる事項が記載されていなければならない。ただし、厚生労働省令で別段の定めをしたときは、この限りでない。

  1. 製造販売業者の氏名又は名称及び住所
  2. 名称(日本薬局方に収められている医薬品にあつては日本薬局方において定められた名称、その他の医薬品で一般的名称があるものにあつてはその一般的名称)
  3. 製造番号又は製造記号
  4. 重量、容量又は個数等の内容量
  5. 日本薬局方に収められている医薬品にあつては、「日本薬局方」の文字及び日本薬局方において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項
  6. 要指導医薬品にあつては、厚生労働省令で定める事項
  7. 一般用医薬品にあつては、第三十六条の七第一項に規定する区分ごとに、厚生労働省令で定める事項
  8. 第四十一条第三項の規定によりその基準が定められた体外診断用医薬品にあつては、その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項
  9. 第四十二条第一項の規定によりその基準が定められた医薬品にあつては、貯法、有効期間その他その基準において直接の容器又は直接の被包に記載するように定められた事項
  10. 日本薬局方に収められていない医薬品にあつては、その有効成分の名称(一般的名称があるものにあつては、その一般的名称)及びその分量(有効成分が不明のものにあつては、その本質及び製造方法の要旨)
  11. 習慣性があるものとして厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―習慣性あり」の文字
  12. 前条第一項の規定により厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、「注意―医師等の処方箋により使用すること」の文字
  13. 厚生労働大臣が指定する医薬品にあつては、「注意―人体に使用しないこと」の文字
  14. 厚生労働大臣の指定する医薬品にあつては、その使用の期限
  15. 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める事項

STEP 3:使用者からもらう書面

内容を理解したことを確認する「別添2」と第14条に規定する「販売記録(2年間保存)」の2つが必要になります。

第14条に規定される販売記録とは下記の内容です

  1. 品名
  2. 数量
  3. 販売又は授与の日時
  4. 販売し、又は授与した薬剤師の氏名並びに法第三十六条の四第一項若しくは第三十六条の六第一項の規定による情報の提供及び指導又は法第三十六条の十第一項の規定による情報の提供を行つた薬剤師の氏名
  5. 薬局医薬品等を購入し、又は譲り受けようとする者が、法第三十六条の四第一項若しくは第三十六条の六第一項の規定による情報の提供及び指導の内容又は法第三十六条の十第一項の規定による情報の提供の内容を理解したことの確認の結果

法律遵守のために簡単に最後に確認

店舗に誤って陳列していませんか、調剤室内に保管できていますか

薬局内で対面で販売できていますか(お届けなど店舗外の販売をしようとしていませんか)

ネットなどで販売しようとしていませんか

必要数以上の販売を行っていませんか

説明の実施、書類の提供、書面の回収は行えていますか

地域の医療機関等と相談の上、受診可能な医療機関や受診・相談センターの連絡先のリスト等を作成、配布する等の対応ができていますか

薬剤師に求められているミッションは、ドラッグストアなどで販売されている研究用の検査キットではなく、医療用の検査キットを用いて好感度に感染拡大を予防することです。ルールを守って正しく、薬剤師の活躍の場を広げていきましょう。