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オンライン服薬指導をスタートしよう

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この記事の背景

オンライン服薬指導を始める前に関係法規もチェックして、自信を持ってオンライン服薬指導の足場を固めていきましょう

なぜオンライン服薬指導が認められたのか

「対面」の拡大

医薬品医療機器等法第九条の三(調剤された薬剤に関する情報提供及び指導等)

薬局開設者は、医師又は歯科医師から交付された処方箋により調剤された薬剤の適正な使用のため、当該薬剤を販売し、又は授与する場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に、対面(映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法その他の方法により薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものを含む。)により、厚生労働省令で定める事項を記載した書面(当該事項が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下第三十六条の十までにおいて同じ。)に記録されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を厚生労働省令で定める方法により表示したものを含む。)を用いて必要な情報を提供させ、及び必要な薬学的知見に基づく指導を行わせなければならない。

これまで処方箋に基づいて調剤した薬剤を販売、授与する際には、薬剤師が「対面」で、署名を用いて必要な情報提供と薬学的な指導を行うことが義務づけられていました。

改正医薬品医療機器等法(薬機法)第9条3では、この「対面」について、これまで実際に対面する場合のみが認められていましたが、新たに、映像と音声を用いる方法など厚生労働省令が定めるものが含まれることが明示されました。これにより、一定の条件下でのオンライン服薬指導が認められることになりました

映像と音声を用いる方法も「対面」として認められることになった

オンライン服薬指導の注意点

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則等の一部を改正する省令(令和2年厚生労働省令第52号)
第十五条の十三(調剤された薬剤に係る情報提供及び指導の方法等)

薬局開設者は、法第九条の三第一項の規定による情報の提供及び指導を、次に掲げる方法により、その薬局において薬剤の販売又は授与に従事する薬剤師に行わせなければならない。

2法第九条の三第一項の薬剤の適正な使用を確保することが可能であると認められる方法として厚生労働省令で定めるものは、映像及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法であつて、次の各号に掲げる要件を満たすものとする。この場合において、前項第一号中「設備がある場所」とあるのは、「設備がある場所(次項第二号に規定するオンライン服薬指導を行う場合にあつては、当該薬局内の場所)」とする。

オンライン服薬指導については、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることが可能な方法であることが求められており、電話など音声のみや、チャットやメールでの指導は含まれません。

また、オンライン服薬指導は調剤を行った薬局内で実施する必要があり、例えば薬剤師が自宅や車の中から情報機器を用いて服薬指導することは、認められていません。

オンライン服薬指導計画とは

「オンライン服薬指導計画」を、あらかじめ策定しておく必要があります。

(1)オンライン服薬指導で取り扱う薬剤の種類とその授受の方法

(2)オンライン服薬指導と対面による服薬指導の組合せ

(3)オンライン服薬指導を行うことができない場合の対応

(4)緊急時の対応方針に関する事項

(5)その他オンライン服薬指導において必要な事項

(5)の「その他オンライン服薬指導において必要な事項」については、オンライン服薬指導を受ける場所、時間(予約制など)、方法(使用する情報通信機器、家族等の支援者・看護者の同席の有無など)、複数の薬剤師がオンライン服薬指導を実施する余地がある場合にはその薬剤師の氏名やどのような場合にどの薬剤師が実施するかなどの記載が必要です。

また、オンライン服薬指導計画の策定の際には、処方医と適切に連携し、計画は医師と共有すること、さらに服薬指導計画は、必要に応じて適時適切に服薬指導計画の見直しを行うことなどを求めています。
なお、オンライン服薬指導計画は、その計画に基づいて実施した直近の服薬指導の後、3年間の保存が必要です。

処方箋の扱いについては、通知では、オンライン服薬指導計画を共有した処方医が発行した処方箋については、患者の求めに応じて医療機関から直接薬局に送付することができるとしています。

今後の流れ

規制改革実施計画(令和3年6月18日閣議決定)

(18)オンライン診療・オンライン服薬指導の特例措置の恒久化

a オンライン診療・服薬指導については、新型コロナウイルス感染症が収束するまでの間、現在の時限的措置を着実に実施する。

b 医療提供体制におけるオンライン診療の果たす役割を明確にし、オンライン診療の適正な実施、国民の医療へのアクセスの向上等を図るとともに、国民、医療関係者双方のオンライン診療への理解が進み、地域において、オンライン診療が幅広く適正に実施されるよう、オンライン診療の更なる活用に向けた基本方針を策定し、地域の医療関係者や関係学会の協力を得て、オンライン診療活用の好事例の展開を進める。

c 情報通信機器を用いたオンライン診療については、初診からの実施は原則、かかりつけ医による実施(かかりつけ医以外の医師が、あらかじめ診療録、診療情報提供書、地域医療ネットワーク、健康診断結果等の情報により患者の状態が把握できる場合を含む。)とする。
健康な勤労世代等かかりつけ医がいない患者や、かかりつけ医がオンライン診療を行わない患者で上記の情報を有さない患者については、医師が、初回のオンライン診療に先立って、別に設定した患者本人とのオンラインでのやりとりの中でこれまでの患者の医療履歴や基礎疾患、現在の状況等につき、適切な情報が把握でき、医師・患者双方がオンラインでの診療が可能であると判断し、相互に合意した場合にはオンライン診療を認める方向で一定の要件を含む具体案を検討する。その上で、対面診療との関係を考慮し、診療報酬上の取扱いも含めて実施に向けた取組を進める。

d オンライン服薬指導については、患者がオンライン診療又は訪問診療を受診した場合に限定しない。また、薬剤師の判断により初回からオンライン服薬指導することも可能とする。介護施設等に居住する患者への実施に係る制約は撤廃する。これらを踏まえ、オンライン服薬指導の診療報酬について検討する。

e オンライン資格確認等システムを基盤とした電子処方箋システムの運用を開始するとともに、薬剤の配送における品質保持等に係る考え方を明らかにし、一気通貫のオンライン医療の実現に向けて取り組む。

オンライン服薬指導は患者がオンライン診療や訪問診療を受診した場合に限定せず、薬剤師の判断で初回からオンライン服薬指導することも可能とすること、介護施設等に居住する患者への実施の制約は撤廃することが盛り込まれたので、今後は対象が拡大しさらにこの制度が使いやすくなると思われます。

まとめ

今後の対象の拡大までに計画の立案と医師との情報共有をしっかりやっておくことで取り組みがスムーズになると思われます。まずは計画を組んで、1人だけでもオンライン服薬指導に取り組んでみましょう。