グループホームの理解を深める
グループホームの解説
グループホームは認知症対応型共同生活介護と表記されることもあります。
グループホームの入所単位
1ユニットは5~9人で、1つの施設につき原則2ユニットまでと決められています。そのために1施設当たり18人が最大となります。
根拠法
老人福祉法第5条の2
介護保険法第8条
受け入れ介護度
65歳以上の高齢者で、かつ要支援2または要介護1以上の認定を受けている方
(※特定疾病を持っている場合は65歳未満でも入居可能な場合がある)
認知症の診断を受けた方
集団生活を営むことに支障のない方
施設と同一の市区町村に住民票がある方
薬局との関わり方
近隣医師に受診に連れて行っている場合や、医師が訪問診療を行っている場合などがあります。各施設によって医師の関わり方が大きく違うこともあるので確認が必要です。
グループホームでは基本的に介護認定を受けているので、居宅療養管理指導での算定が可能になります。居宅療養管理指導を算定する際には施設内のケアマネに情報提供する必要があります。また、施設内のケアマネとケアプランの共有を密に行っておくことで利用者の満足にも繋がります。
営業オススメ度:★★★★★
このブログを読んで頂いている方にはこれだけは伝えたいです。かなりオススメです。
居宅療養管理指導の算定ができます。確かに個人宅と比較をすると居宅療養管理指導の単位数は少なくなりますが全く問題ありません。最大で18名ほどを一度に担当することができます。認知症の高齢者がメインで、自身の薬の管理などが難しいことからも一包化などの服薬管理を行うニーズは高くなるために技術料は一般的に高くなる傾向が見込めます。1施設の営業で見込める技術料(+介護報酬)としては効率的です。下記は計算上の技術料と実際の技術料です。
モデル患者
80歳男性 糖尿病、高血圧、脂質異常症、認知症
調剤基本料1(42点)、地域支援体制加算(38点)、後発医薬品調剤加算3(28点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)、内服薬30日分(77点)、一包化加算(160点)、在宅患者調剤加算(15点)、居宅療養管理指導料(378単位)×2
→技術料1,270点
モデル技術料収益と実際の技術料の比較
モデル技術料(18名):22,860点
実際の技術料(私の場合):2021年8月⇒20,580点 2021年7月⇒21,174点
このようにモデルとほぼ同じような技術料で落ち着きました。
※今回モデルよりも少なかった要因としては、18室が埋まっていないことも原因として考えられます。
なぜグループホームがオススメかというと仕事のやりがいが高くなります。グループホームは医療の側面とケアの側面を両方とも兼ね合わせています。グループホームのケアマネがどのように介護を進めていきたいかという主軸を理解することができるので、個々の状況にあった処方提案などが行うことが可能です。グループホームは看護師がいる施設もあれば介護職員で運営している施設もあるため、薬剤師が介入することで副作用の発見や対応などを通して医師と密に連携も取りやすく、医療面で頼られる存在になります。在宅の面白みと施設の面白みを兼ね備えた環境のために働き方次第でスキルアップも狙うことができます。
上記の理由から★5つ(営業をオススメします)とさせていただきました。
グループホームへの営業プラン
施設が抱える現状と課題
グループホームでは認知症の患者を受け入れているために介護に時間と手間の掛かることが多くなります。また、高齢者が多いために、嚥下が低下している、栄養状態が悪化している、精神的な症状が強いなどの個々の状況が様々に絡み合っています。しかし、医療のプロという存在が常駐していないことが多いため、医療上の不安や悩みなども多く抱えているケースがあります。
以上のことからまとめると2点がキーポイントとなってきます。
グループホームに介入する際の2つのポイント
薬剤情報が施設内で共有することができているか(コミュニケーション)
ケアプランを基にした提案が行えているか
他の薬局と比較して「頼れる」ことを意識して営業活動でプランを立てる
情報共有ができる環境を整えて、コミュニケーションで取りに行く
私がグループホームに対して営業を掛ける際にはまずはここから開始します。実際に介護の方には細かい薬剤師の介入は伝わらないことが多いので、「なんでも屋さん」という立場から相談などの窓口で連絡をもらうようにして取っ掛かりを作っています。
実際に休日中の誤薬の問い合わせ、粉砕の問い合わせ、他科診療の際の飲み合わせ等で電話などが多くあります。「もらっている薬局に聞いてよ」と思う方も多いかもしれませんが、その薬局が閉局時間だったりなどもあるので対応をさせてもらっています。念のために問い合わせ内容は主治医に報告書を送っています(切り替えが決まった後の医師への打診の際に「はじめまして」にならないための布石です)。
現在の手間になっている業務がないか、薬剤師が行った方が正確ではないか
残薬管理ができているか
他科診療の際の管理に手間はないか
配薬などに時間は掛かっていないか
緊急時、夜間などの事故に対して連絡が取れているか
薬剤情報について勉強することができているか
医師との関係性で悩んでいないか
提案から営業していこう
もっとも簡単な提案は「残薬管理」「配薬管理」です。この点は特養の営業と変わりありません。
残薬管理の提案
私の場合には介入前に残薬の使用期限チェックと廃棄を行っています(現在介入中の薬局が行わないのであれば)。営業段階で何か頼まれることができれば、次の段階に進みやすくなります。
さらに残薬状況から残日数の調整までを提案、さらに処方日数などの医師とのすり合わせを実施してなるべく施設内に薬が溢れないようにを意識して提案していきましょう。
配薬管理の提案
次に配薬管理の提案です。
できる限り特養看護師の手間を減らすことを提案するために、他科診療科をホチキスで繋いだり、2週間ごとにセットして持ち込んだりなど、介護職員が薬剤管理について何も考えなくてよい状態に近づけていくことが重要です。
配薬に関しては下記資材での提案を行っています(貸与する形を取っています)。
これなら薬局内で完結できるために施設内での作業を減らすことができます。
これを必ず使用すると言うわけではなく興味を持ってくれたらというイメージです。
外堀を埋めて切り替えよう
全体的な提案がケアプランと齟齬がないかをチェックしておきましょう。自身の活動が独りよがりになっている可能性があります。ケアプランを確認すると施設で力を入れたいポイントが理解できることがあります。入所者は医療処置が必要な方がほとんどですが、ケアの考え方で提案も変わってきます。
ステップはあと2つです。もう少しで切り替え完了です。
医師からの切り替えの承諾
Drとの面談を通して、医師の治療方針などの把握に努めましょう。情報のやり取りをどうするか、後発品への考え方はどうかなども聴取しておくと良いでしょう。
処方箋のやり取りについても確認を行うようにしましょう。
人員配置も確認しておきましょう
看護師の有無、夜間での人員体制なども確認しておくと、緊急時の訪問などでも迷惑かけることなくスムーズに対応することができるようになります。施設の中に入り込むイメージを大切にして、職員さんの名前まで覚えていくように意識しています。
この記事のまとめ
最後にまとめです。★5つのオススメです。現在グループホームを担当していない方は全力で営業に行ってください。在宅を行ったことがない薬局薬剤師の方もグループホームは最初の在宅として非常に有効だと思います。
それでは楽しんで営業を!
ここだけのナイショの話
ここだけの話ですが、営業に行ってみると「片手間」「テキトー」に介入している薬局が多すぎます。簡単に切り替えることができるので誰が営業してもうまくいく可能性が高いです。
お届けしかしていない薬局、ケアについて考えていない薬局、施設や医師と連携が取れていない薬局、そもそも本当に何もしていない薬局と様々ある中で、「薬局がここまでしてくれる」と知らないグループホームが多いのです。そのために上記の全プランまで実行しなくても切り替えられることがあり、仕事量に無理ない形で対応していくことも可能です。
逆にこのブログを読んでいる方で「片手間」「テキトー」に介入している方がいれば、切り替えられてしまう可能性もあるので注意して明日から活動を見直しましょう。