2020年、2021年は談合問題、ジェネリック医薬品の供給問題など卸業界にとっても非常に厳しい年になっていると思います。2021年の夏のボーナスが出ないと嘆く卸MSもいて、薬剤師だけでもその苦悩をわかってあげてほしいと思います。
現在の卸の利益率
上記の表からもわかるように「営業利益率」が非常に小さい数字だということがわかります。営業利益率は売上高に占める営業利益の割合を表したものです。営業利益とは売上総利益から販売管理費を除いた残りの金額から成り立ちます。ここからわかるように大手6社であっても赤字になるギリギリのところになっています。
卸が赤字になると
もちろん会社を守らなければならないので人員削減が進むと思われます。また今まで行っていたサービスも改悪することが予想されます。卸の赤字化は医療業界全体の満足度を下げることに繋がります。例えば1日2便制で行っていた配送が1便制になったり、土日も配送したのが平日のみの配送になったり、心当たりはありませんか?
卸の収益が上がっていると、薬局側も運営しやすくなるというメリットがあります。
卸は取引先というよりは運営上のパートナーという意識で付き合った方が良いかもしれません。
医薬品卸がいなくなると
薬剤師の中には卸がいなくても医療業界は成り立つと考えている方もいると思います。しかし、これに関しては難しいと思います。薬局でも手間が格段に増えてしまいます。卸が担う2つの機能の提供は無視できません。
1.医薬品流通機能
納品までの安定性、緊急時の備蓄倉庫としての機能、偽造医薬品などの検品なども卸が仲介しなければ薬局ですべてを行わなければならなくなります。
2.情報集積機能
回収などの作業なども1つ1つの作業をバラバラに行っていると業務が回らなくなります。仲介に卸が入ることで、情報がまとまり、スムーズに終えることができます。
MSは素晴らしい仕事です
2011年3月11日、私は仙台でMRとして働いていました。その日は東日本大震災のときでした。オフィスは壊滅的になり、出社の指示は会社からはありませんでした。当時私は避難所で5日間過ごしていました。会社からは家族と自身の安否を優先するように指示があったと思います。
しかし、MSは働いていました。MSはオフィスも倉庫も壊滅的です。天井が落ちてきて中に入れないというところもありました。その中でMSは懐中電灯を片手に、真っ暗な倉庫から薬を取り出して、納品に走っていました。このときは情報収集手段がなかったので、MSは医薬品の納品だけでなく、周辺の医療情報などを各医療機関に届けていました。
MRとして無力感を感じる中で、MSが医療現場に欠かせない存在なのだと痛感した出来事でした。
まとめ
今回のジェネリック医薬品の欠品騒動についてMSから話を聞くと、薬局vs卸のような構造になっている地域(医療者)もあるそうです。MSも納品に奔走するばかりで疲れてしまっている方も多いと思います。薬局として卸を取引先としてだけ見て差益を交渉していくのか、卸はパートナーとして他の部分に価値を見出すのか、それは各薬局の考え方だと思います。
ただ、自身の企業のミスではないのに奔走しているMSを見て、少し感謝を伝えなければならないと思いました。いつもありがとうございます。