※本記事では小児特定加算に焦点を当てているために、やや商業的に疾患を扱っています。小児特定加算を通じて薬局薬剤師が対象患者に何ができるかを考えるものであり、対象患者・家族を金銭的に捉える意図は一切ございません。
小児特定加算を狙いたい
小児特定加算は実は非常に注目度が高い加算として2年前から考えています。令和6年度改定では地域支援体制加算の要件項目にも追加されました。小児特定加算が作られたことで、薬剤師が重症小児に対してもっと積極的に介入するように国から指示が出ていることがわかります。
無菌製剤処理加算ともつながりやすいところであり、小児特定加算の周辺の加算は今後も加点が期待されます。
小児特定加算の点数
小児特定加算(外来):350点
小児特定加算(在宅※):450点 ※オンラインは350点
小児特定加算の要件
【服薬管理指導料 / かかりつけ薬剤師指導料】
調剤に際して必要な情報等を直接当該患者又はその家族等に確認した上で、当該患者又はその家族等に対し、服用に関して必要な指導を行い、かつ、当該指導の内容等を手帳に記載した場合に加算する。
【在宅患者訪問薬剤管理指導料(在宅患者オンライン薬剤管理指導料) / 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料(在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料) / 在宅患者緊急時等共同指導料】
患者又はその家族等に対して、必要な薬学的管理及び指導を行った場合に加算する。
手帳に書いておくことを忘れずにチェックしておきましょう
小児特定加算を算定ために背景を知る
医療的ケア児は年ごとに増えている
年次推移を追っていったときに医療的ケア児の総数は増えています。
診断の精度があがり早期の診断と治療が可能になったことも要因かと思います。もしかすると総数が増えているのは、医療的ケア児が医療を受けることによって今までよりも長く生活が可能になっていることも増加の一助かもしれません。
約20,000人という対象者数は、腎臓癌よりも多いと考えるとそれなりに多いと感じます。
医療的ケア児の年齢層とは
年齢層
各年齢層に幅広く分布していますが、最も多い層としては2歳から4歳までになります。もっと広く見れば0歳から4歳です。
処方箋応需のためにはこの層が大切になります。もちろん病院に対して営業を掛けるのであれば、NICU/GCUを保有している大病院がターゲットになります。
しかし、病院から患者を誘導することが難しいので、地域に営業を掛けるのが効率的かと思います。地域での応需先である小児専門在宅医は全国でも数が少ないので、私は地域に対しての広告を中心として宣伝していました。(もちろん地域に小児専門在宅医がいればアプローチは必須です)。
医療的ケア児が受けている医療的ケアを知る
必要とされる医療的ケア
医療的ケアでもっとも多いものは経管栄養、次いで吸引になります。
実際に私が処方箋を受けている方もこのような医療的なケアが必要になり、胃ろう部位のケアや小児の経管栄養の際の注意などを相談・指導することが多くあります。
医療の負担からも精神的なサポートが必要になるケースが多く、かかりつけ・在宅対応が必要になる方も多くいます。
特に家族は症状変化の対応などへの不安も慢性的に抱えています。私としては「小児特定加算」は「日常生活の気づき」を与えるきっかけとして、指導を行って手帳に記載しています
医療的ケア児の介護者について理解する
世帯構成
子どもと親で生活している家庭が多く、親族などの三世代世帯は比較的少なくなってます。きょうだい児がいる家庭も半数いるので、親に掛かる負担が大きくなりがちなことがわかります。
日常的な課題・困りごと
同じように、具体的な困りごとを見てみても、親に掛かる負担が大きくなりがちなのが分かります。
実際に「子どもから目を離すことができない」という悩みを持っている家族の方もいて、慢性的な睡眠不足やストレスを受けていることがわかります。
日常の理想とのギャップ
医療的ケア児を持つ親は行いたいことを実行できていないことが多く、疲労感・ストレスとともに生活していることがわかります。自分自身のことが2番目、3番目になりやすいために、小児特定加算を算定する患者においては家族のケアも当然優先される事項になっています。
医療的ケア児を取り巻く制度を整理する
助成医療給付
児童手当 | 中学を卒業するまでの児童 |
子ども医療費助成 | ○○歳から○○歳まで |
自立支援医療費(成育医療) | 身体に障害のある18歳未満の児童 |
未熟児療育医療 | 入院が必要な出生時体重2,000g以下の児童 |
小児慢性特定疾病医療費 | 国が定める疾病に罹患している児童 |
特別児童扶養手当 | 中度以上の障害がある児童を養育している方 |
障害児福祉手当 | 重度の障害がある在宅の児童 |
児童扶養手当 | ひとり親家庭 |
その他 | 各自治体で定められている助成・医療給付 |
相談窓口
市などの健康に関する窓口 |
児童相談所 |
発達支援センター |
教育委員会 |
福祉に関する窓口(例:福祉センター等) |
電話などで確認を行ってまとめておくと、患者家族のための相談先だけでなく、薬局としての相談先にもなります
小児特定加算のまとめ
小児特定加算は非常に大きな点数
小児特定加算(外来):350点
小児特定加算(在宅※):450点 ※オンラインは350点
さらに小児特定加算は「かかりつけ薬剤師指導料(76点)」「在宅患者訪問薬剤管理指導料(650点)」さらに「無菌製剤処理加算・輸液(69点/日 or 137点/日)」と相性の良い加算です。
また、地域支援体制加算の要件の1つをクリアすることが可能になります。
今まで算定できていない薬局は算定することで、確実に技術料のプラスを狙うことができます。
小児特定加算をどのように算定するか
SNSなどで情報を見ていると、小児特定疾患に対してハードルを高く感じている方も多いと思います。今回の記事を見て頂くと、医療的ケアだけではなく、包括的な対応が求められていることがわかると思います。
私は先述した通り「小児特定加算」は、日常的に忙しくて手が回らないケアに対して、気づきを与えることを意識して取り組んでいます
どんな指導をするか、具体的な内容が抜けていますが、これに関しては個々で大きく異なるために残念ながら例示することができませんでした。
全く例がないと小児特定加算が掴みにくいので、私が行っている対応の一例を挙げておきたいと思います。
発熱・嘔吐・下痢についての対応を指導
てんかん・けいれん等の症状変化時の対応についての指導
皮膚のただれ、胃ろうなどの皮膚トラブルについての指導
体型の変化からの症状変化などについての指導
私は全くの素人なのでこの指導内容が十分とは思っておりません。あくまでも医療関係者などの専門家につなぐことを意識して指導を行っています。
小児特定加算の対象となる方は、医師、看護師、放射線技師、栄養士、臨床検査技師、PT・OT・ST、臨床心理士、ソーシャルワーカー、保育士、こども療養支援士、支援学校など様々な職種が連携して支えています。薬剤師もこの中に入っていくことが、地域に根差した面調剤にも重要だと思います。