以前、事務から患者の接客マニュアルを作成したほしいとお願いされました。皆さんの店舗では作成していますか?
マニュアル作成を頼まれた!そのとき…
私の薬局では全店舗でマニュアルが存在しません(最低限の備えるべき指針などはあります)。それが逆に接客に慣れていない新入職員などは少し迷ってしまうことがあるようです。そんなこんなでマニュアルの作成を頼まれました。
手渡した『接客マニュアル完全版』
私はその職員に『接客マニュアル完全版』と表紙に貼ったノートを渡しました。そのノートの次のページには一言だけ添えています。
相手がしてほしいことを、相手がしてほしいという前にやってください
それ以外は白紙のノートでした。彼女には伝えました。このノートに、自分がされたら嬉しいことを書いてください。他の人がやっていて素敵だと思うことを書いてください。それを忘れないように見返す癖を付けてください。
接客のポイント
逆の立場になって考えたとき、してほしいことをする
患者を観察して、何を望んでいるかを常に考えるように伝えています。望んだことができるようになるということが最低限のレベルとしています。
そこからはレベルアップして、望んでいなかったこと(期待を上回ること)を意識してもらっています。この部分が薬局の価値に繋がると思いますので、どう考えて行動したのかというポイントを共有するようにしています。
自分が理想とするコンセプトに合っているかを確認する
私の薬局では「気のいい近所のお兄さんが薬局をしている」が私のコンセプトなので、私の接客はそれに沿ってプランを立てています。言葉に関しても敬語だけではなく少し砕けた表現を用いたり、家族の話や雑談などもしながらゆっくりと話をしたり、コーヒー飲みながら話したり、キッチリしていない接客になっています。
事務員にはそのバランスについてを伝えています。私と事務員の対応に差が大きすぎると事務員が冷たく感じる可能性があるので、その点だけ気を付けてもらっています。
待っているのではなく、自発的にアプローチする
事務員には接客はドアから入ってくる人を待つのではなく、ドアに入りそうな人を捕まえるイメージでやってもらうように伝えています。
面談時には1日で何回くらい事務員がパソコンの前から待合に出られているか聞くようにしています。
具体的にどう変わったのか
何も教えずとも勝手に接客は上手になっています。ここまで自然にできていたらいうことはありませんし、私生活でも何か役に立ちそうな気がします。下記には思い出す範囲内で従業員が実行している一例です。どんなによいことでもマニュアルではなく、自分のできる範囲を考えてもらって各人に応じた対応を行ってもらっています。
子ども連れの方への接客
- 子どもがいたら屈んで目線の高さを合わせて話をする。話に付き合ってあげる。
- 抱っこしている患者が見えたらドアを開けてあげる。
- 待ち時間が長くなったら折り紙を手渡す。何か折ってあげる。
- 床を汚したりしたら「こちらで片付けますから大丈夫です」と笑顔で応える。
足が悪い方への接客
- 段差がなくても「足元に気を付けて」と声掛けをする。
- 杖などを忘れないよう立てかけてあげる。
- できる限り歩かないように待合室まで出て行き応対する。
手が痛い方への接客
- ドアを開けてあげる。
- 荷物などは車まで運んであげる。
雨のときの接客
- 乾いたタオルを用意して濡れた患者に渡してあげる。
- 濡れた傘を畳んであげる。
- 外まで傘をさして車まで送ってあげる。
- 「天気が悪い中、来てくれてありがとうございます」と伝える。
雰囲気が明るく変わった人への接客
- 「髪型変えましたか?よくお似合いです」と伝える。
- 相手が話す事柄に相槌を打つ。
趣味がある人の対応
- 待ち時間に最近の趣味の話を聞く。
まとめ
当たり前のことを行うだけで満足感の得られる接客になります。さらに期待を上回るためには相手を観察して半歩先を意識して応対することが重要だと思います。
今回は事務員の接客について記事にしました。私自身はマニュアルは必要ないと思っています。無理にしている接客はどうしても無理が生じてきます。個々ができる最大限を活かすために、自然な接客の中で意識させることを徹底した方が効率的だと思います。マニュアルがなければ、自身で考えて対応することができますが、マニュアルでは動ききれないパターンが出てきてしまいます。
面調剤の場合では他の薬局と比べて「居心地が良い」ということも非常に重要なものになるので、薬剤師だけでなく事務も薬局のコンセプトを理解して接客することが重要だと思います。