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漫然投与? 継続中に注意する薬剤(個別指導的に)

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よく個別指導の際に漫然投与に対して疑義を行っていないとありますが、具体的に何をすればいいかわかりません。薬歴には何を書けばよいのでしょうか?

チャンピオン

個別指導の際に注意される事項でよくあるポイントだね。具体的には「漫然投与ではないことの確認」「漫然投与でないことを薬歴の表紙に記載」「定期的に効果などを確認」とこの3点を押さえてあれば問題なしだよ

漫然投与ってどういうこと

本来は定期的に効果の確認や副作用の確認が必要になっているが、継続しているうちにずっと同内容で処方されているような薬剤です。他にも、効いているのか、効いていないのかわからないような処方に関しては定期的なチェックを求められます。

添付文書の記載では【8.重要な基本的注意】に記載されています。

よくある一例

モサプリド

2週間の投与後消化器症状の改善について評価し、投与継続の必要性について検討する

メコバラミン(+その他ビタミン製剤)

本剤投与で効果が認められない場合、月余にわたって漫然と投与するべきではない

ラメルテオン

2週間後を目処に入眠困難に対する有効性及び安定性を評価し有用性が認められない場合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しない。

アリピプラゾール

双極性障害における躁症状の改善の場合

躁症状が改善した場合には本剤の投与可否について検討し、本剤を漫然と投与しないように注意すること

クロルマジノン

前立腺肥大症

投与期間は16週とし、期待する効果が得られない場合には以後漫然と投与を継続しないこと

ニセルゴリン

投与12周で効果が認められない場合には投与を中止する

プロトンポンプ阻害薬

逆流性食道炎の場合は通常、8週間までの投与とする

エパルレスタット

投与中は経過を十分に観察し、12週間投与して効果が認められない場合には他の適切な治療に切り換えること。

イフェンプロジル

本剤の投与期間は、臨床効果及び副作用の程度を考慮しながら慎重に決定するが、投与12週で効果が認められない場合には投与を中止すること。

リマプロストアルファデクス

腰部脊柱管狭窄症に対しては、症状の経過観察を行い、漫然と継続投与しないこと。

何をしておくべきか

個別指導の際の指摘事項としては投与期間が規定を超えている場合には「その前の段階で薬効を評価した方が良いのではないか疑義紹介」「投与後の継続に関しては医師に漫然とした投与ではないか確認」「患者、医師に効果を定期的に確認すること」これら3点を指摘されました。

押さえておくべきポイント

漫然とした投与の対象の薬剤が処方されている場合には、まずは疑義紹介で効果のチェックを依頼

まず最初に疑義紹介したときに、漫然投与を確認して服薬指導を実施したことがわかるように薬歴の表紙に明記しておくようにしましょう

継続して投与される場合には定期的に確認をしてください

個別指導担当官からは「毎回の疑義は必要ない」「効果の判定は患者でも構わない」と2点が追加で指導がありました。

最初は医師に漫然投与でないか確認

次からは患者に効果が安定しているか確認

しばらくしてから、医師に再度疑義紹介を実施して漫然投与でないか確認

上記を薬歴に記載

つまり漫然とした投与の可能性がある薬剤が出た際には、長期になる場合は医師に確認、その後は患者に確認を行って効果が安定しているか、効果があるかを聴取しておく癖を付けてください。

私自身の3回目の個別指導の際にモサプリドの処方は6ヵ月に1回程度の間隔で疑義紹介して、漫然投与ではないか、減薬できないか確認していると話したところ、特に回数や頻度など指摘をされませんでした。

こうすればもっと良くなる

最近では疑義紹介の代わりに服用薬剤調整支援料2を狙って報告書で送っています。この報告書を送った日を薬歴の表紙に記載することで、漫然とした投与を避けるように薬剤師として活動しているということを示すことができます。

文例集 やんわり

当たり障りなく医師にFAXなどで投げ掛けておくようにしています。40施設以上に送っていますが。この程度で怒る医師は誰もいませんから大丈夫です。

モサプリド

○○さんのモサプリドの経過に関して報告します。厚生局より定期的な効果の判定のない投与を避けるように指示がありました。患者さんの胃酸症状は安定しておりましたので、今後も継続して安定していれば休薬や減薬などもご検討ください。

メコバラミン等のビタミン剤

○○さんのメコバラミンの経過に関して報告します。厚生局より定期的な効果の判定のない投与を避けるように指示がありました。現在のところ患者さんの痺れの症状は既になかったようです。今後安定していれば休薬や減薬などもご検討ください。

メコバラミン等のビタミン剤

○○さんのメコバラミンの処方に関して報告します。周辺の地域から、ビタミン剤の査定の情報がありました。効果の判定等で不要になっていましたら、今後は減薬などもご検討ください。

どの薬剤が漫然とした投与を禁止しているかわからない

添付文書を読みましょう。

添付文書の8.重要な基本的注意の項目に漫然とした投与を避けるように記載があります。

全部覚えるの?

全部は難しいと思いますので、こういう方法はどうでしょうか。2段階で構えてください。

1.ビタミン、モサプリドなどの有名どころは必ずチェックしておく

2.その他の薬剤の効果判定をする癖を付ける

患者さんに対して、1品目ずつでもチェックしておきましょう。

Aという薬剤の効果はいかがですかと聞いてみて、問題なしと帰ってくれば問題なしと薬歴に記載。

Aという薬剤の効果はいかがですかと聞いてみて、なんで服薬しているかわからないと返ってきたら疑義紹介などで処方医に意図を確認。その点を薬歴に記載。

Aという薬剤の効果はいかがですかと聞いてみて、効果なし・悪化している・副作用がある場合には医師に疑義紹介で中止を依頼。その点を薬歴に記載。

これで「漫然と投与をしないこと」と書いてある薬剤を覚えていなくても取りこぼしは起きません。6種類の服薬がある場合でも、6ヵ月で1周できるので十分患者や医師に注意喚起も行えている状態になっています。

この活動は薬剤の効果を確認して医師にフィードバックするという当たり前の行動です。患者のメリットにもなり、医師とのコミュニケーション手段にもなります。そして薬局の調剤報酬をも守るための手段にもなります。

難しく考えずに定期的に効果判定を行うきっかけを作ってください。

最近の漫然投与例はPPIに多いから注意するようにと指導がありました。

PPIなどは保険病名のチェックは必要なのかを指導官に確認したところ、確認が取れるのであれば確認した方が良いと言われました。ただし、必ずしも必要かというと判断は各地域によって異なるかもしれません。

個別指導の際に逆流性食道炎の病名で長期継続して処方されている患者さんに対しては「薬剤の効果は確認していますか?」という質問だけで、再発再燃を繰り返す逆流性食道炎と書いていないから(疑義していないから)ダメとは言われませんでした。

まとめ

この点の解釈は各都道府県で異なるかもしれません。薬歴の基本となる漫然投与の対応ですが、「漫然投与ですか」という疑義紹介などは医師のタイプによっては気が引けるかもしれません。伝達方法なども工夫しながら、定期的に確認ができる方法を検討してください。

毎回は必要ないようですが、必ず最初の1回は必要になります。この点だけ忘れないようにしましょう。

最後になりますが、1回目の個別指導の際にこのように聞いていました。

チャンピオン

漫然投与の点に関してはなぜ薬剤師の責任となるのですか?

薬剤師は保険診療の一端を担っているので、保険診療上の誤りや添付文書の記載上の注意点を見落としているというのは薬剤師の責任ではないですか?

これにはぐうの音も出ませんでした。おしまい。