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無菌調剤室を設置してみる(第一報)

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記事の背景

小規模の薬局で無菌調剤室を設置する場合、どのような流れになるのか確認してみました。今回は無菌室の設置に強みのある設備会社に話を伺って回答してもらったことをまとめています。

なぜ無菌室を作りたいと思ったのか

元々の薬局の理想像

小児の在宅に興味があり、小児在宅に踏み入れたい気持ちがありました。コロナの状況になり、病院に入ってしまうと面会が限られることもあり、小児だからこそ親子で過ごせる環境を作ってあげたいと感じました。この地域ではそのような薬局はないので、私の薬局でその一端を担うことができれば、自身の薬局像に近づくのではないかという発想でスタートしています。

環境の追い風

地域連携薬局で無菌調製なども要件に入ってきているので、導入に関してさらに早い段階で投資していこうと思っています。無菌室を作り拠点になることで、地域の薬局に情報発信でき、地域の薬局とも繋がれるので、私だけでなく連携することで地域の医療レベルが上げられる可能性があります。医療の満足が高くないと、住んでいる人も減るので、街一体となって環境レベルを上げたいと思っています。

薬局としての独自性・強み

このままいくと、私の会社のような小規模薬局は淘汰されます。それは人の問題です。新卒の薬剤師がこんな小規模薬局に就職したいと思いません。そうすると人がいれば広げられる仕事も、人がいないことで仕事を縮小していくことを余儀なくされます。

今回の無菌室は県内でも数えるほどの店舗しか導入していません。だからこそ今導入してアピールポイントとして積極的に押し出したいと考えています。

無菌調剤室の必要性

輸液・注射剤の製品特性上、異常の発生は容易にはわからず、かつ発生頻度がきわめて少ないという特性があるため、異常の発生を無菌製剤の工程の途中で未然に防止しなければなりません。そのために、薬剤師の慎重かつ厳重な品質管理が要求されますが、薬剤師のリスクマネジメントの二重弁的要素として塵挨(細菌も含む)の少ない清浄な環境と高度医療に対応する機器が必要になります。

クリーンベンチだけではいけないの?

現段階でも加算や施設の基準としてはクリーンベンチだけで認められています。多くの薬局ではスペースに限りがあるのでクリーンベンチだけの設置となっている薬局も多くあります。クリーンベンチだけの薬局ではk市や県の対応によってもとなりますが、調剤室の中に棚を1つ無くして設置しているところもあります。地域によっては調剤室以外に置いているところもあるということで、導入するときのハードルはスペース的にも大きく下がります。

ただし、在宅医療では、無菌製剤を調製してから、実際に患者が使用するまでの期間が長い可能性が高い(数日分を一度に調製)点も考慮する必要があります。これからは地域連携薬局などの観点からもクリーンベンチの設置薬局は増えてくると思われます。その状況の中で、病院側として安全性の高い先に紹介したいという意識も働くので、選択の際に他の調剤薬局との差別化に繋がるのではないでしょうか。

また共同利用に関してはクリーンベンチでは認められていません。無菌調剤を行うとなると、私の会社の場合では各店舗(4店舗)導入する必要性が出ます。

費用の回収ができるのか

無菌調剤設備の担当者からの回答では「No」です。完全に費用の回収ができている薬局は、その担当者が関わっている店舗のうちで10%に満たないのではないかとのことでした。

私の意見としてですが、費用面で見ると今の導入が最もコスト安になるのではないかと考えています。地域連携薬局では紹介という手段がありますので、今後を見据えたときには、まだ設置件数の少ない現段階では紹介される側に立った方が新規先も含めて拡大することが可能になります。

また、私の地域では20km圏内で無菌の対応ができる薬局がありません。そのために私のところで無菌室まで作ってしまうことで、クリーンベンチも含めた新しい参入を阻止できる可能性があります。他の調剤薬局に先んじて行うことで、医師との早期の関係作りもできるのではないかと考えています。

そのために費用の回収は10年単位など長い目で見て回収できれば問題ないと思われます。

実際の見積もり

520万円(見積もりの写真は削除しました…ご迷惑を掛けて申し訳ありません)

あっ…(やっぱり結構高いのね)

担当者からは、昔では1000万円以上していたときもあり、さらに小規模に導入できる製品ができているのでかなりお買い得になったと話をされました。一見するとクリーンベンチだけを導入するよりも高く見えてしまいますが、同一企業内の共同利用であれば圧倒的に無菌室を作った方が安価とのことでした。

各店舗にクリーンベンチを導入した場合、クリーンベンチ(80万)×4店舗で320万、さらにHEPAフィルターの定期メンテナンスで各店舗で20万程度が掛かるということでした。意外とこのメンテナンスが高いので、メンテナンスを1つに集約することがコストの削減につながります。

これからの流れ

保健所に見積もりと図面を持って確認作業、資金作りと作業は進んでいきます。

このブログで少しずつ報告ができればと思います。果たして無菌室はできるのでしょうか…。