独立して7年が経過しました。まだ7年、されど7年ということで現時点で既に感じているメリットを20項目にまとめました。
「おいおい、それは全員には言えないことなんじゃないか」「メリットばかりでデメリットはないのか」など思う方がいるかもしれませんが、独立する際には誰かに後押しがほしいと思うものです。少しでも後押しをして社長へのステップを踏める方が多くなれば幸いです。もしかすると思い込みだけの部分があるかもしれませんが参考までにどうぞ!
年収が上がる
独立するほとんどの方が「年収が上がる」というメリットを求めているのではないかと思います。
年収に関しては上がります。もちろんその会社の実績にもよりますが、私自身は完全に年収は上がりました。
年収の推移としては
製薬メーカーMR(29歳):1,000万
→雇われ薬剤師(30歳):550万
→独立後(現在):1,900万
役員報酬を1900万にした理由は特にありません。なんとなく1900万もあれば36歳でもう充分だろうという感じで決めています。税理士さんとしては利益から考えるともっと上げられるということなのですが、社員還元のために福利厚生とボーナス支払いを増やすようにしています。
雇われ薬剤師のときがゾッとするくらい給与が低いですね。今では考えられないですね。
周囲からの目線が変わる
A:「36歳です。薬剤師です」の人とB:「36歳です。薬局を4店舗経営しています。薬剤師としても働いています」だとどっちの方が優れた人材に見えそうでしょうか。
どう考えても、一目瞭然のBさんですね。同じ薬剤師をしてるのに、周囲の見え方は異なります。もしあなたが悩みを持っていて、AさんとBさんの相談の答えが違った場合はBさんの意見を聞きますよね?
大人になると「自分にメリットのある人」が交友関係を広めやすい傾向にあると思います。見知らぬ人に信頼を持ってもらうにはそれなりの肩書が必要になります。
「独立し、社長になり、事業を継続している」ということは「決断力があり、経営などの経験もあり、成功をしている」という称号を得ることができるので、発言などに信頼感を持たせることができます。
正しいと思うことだけすれば良い
雇われ薬剤師の掲示板を見ていると「かかりつけのノルマがぁー」「患者のメリットにならないのにぃー」というのを目にすることがあります。
独立するとこの考えが一切なくなります。自分が正しいと思ったことだけをすれば良いので、ノルマなどはもちろんありません。この患者さんのために何ができるのか、という1点だけを考えて業務をすれば良いのです。
私の会社ではかかりつけも取っています。ただ理由なく算定している方はいませんし、断られたこともありません。ノルマがあると必要ない人にまで声掛けを強いられることもあるでしょう。このまま自分の昇進と会社の利益のために患者を騙すようなことを続けますか。
私の会社では店舗全体にノルマを課すことはありません。かかりつけなどの加算や情報提供などの点数はあくまでも患者の目線になったときに求められて提案するものだと伝えています。
自身の正しいと思うことと会社の命令が完全に合致していますか?帰ってから家族に胸を張って今日の仕事内容を伝えられますか?
経営者という考え方を持てる
独立してから一般社員と経営者の考え方は大きく違うことがわかりました。
一般社員は全体の売上が高いということが重要なのに対して、経営者の考え方は常に利益が優先されます。年商○○億円というのは聞こえが良いですが、実際に重要なのは利益です。売り上げが下がっていても利益が上がることがあり、それは計画がうまくいっている可能性があります。
ヒト・モノ・カネを利益に変換させることを考えて策を打っていくということを考える、キャッシュフローや税金などの観点からいつ実施するかを考える、実施したことに対して費用対効果を検証する、といった一連の流れは経営者になると当たり前ですが、なかなか雇われ薬剤師では考えが及ばないのではないかと思います。
利益を上げるために、人の成長に取り組み、システムの導入など検討し、広告宣伝などをどう行うかを考える。会社の全体のバランスを見ながらテコ入れを行う。まさにマネージメントという感じですね。
独立することで経営者の考え方を机上の空論ではなく、実践として学ぶことができるのです。
毎月貸借対照表などを見ていると、少しずつ中身も理解できるようになってきます。誰に教わるわけでもなく自己資本比率なども気にするようになり、確実に目線は変化します。
経費を使うことができる
これもお金シリーズです。実際にお金のメリットがとても大きいのが事実です。中小企業の場合では交際接待費が800万まで経費計上することができます。
つまり医師との打ち合わせを兼ねた食事会、薬剤師との採用面談を兼ねた食事会などすべて経費で計上することができます。あくまでも事業に関係のあるものだけが認められますので、もちろんその点はご了承くださいね。
私の場合では居宅療養管理指導を算定している患者も多くいるので、車も経費で購入しています。またその車に関わる維持費も経費として計上することができます。もちろん事業用にですね。
パソコンや携帯電話、タブレット端末も「(事業で)使ってみたいなー」ということで経費になります。
特に30万以下の物品に関しては一括で経費計上できるメリットも中小企業にはあります。
税務に関しては非常に難しい問題なので、全部が全部経費にできるわけではないことは注意が必要かもしれません。相談に乗ってくれる税理士とうまくやることも重要です。
時間など縛られなくなる
会議などが急に入ってくることもなければ残業を強要されることもない。
朝が好きなら朝に働くし、夜が好きなら夜に働くし、家が好きなら家で働く。基本的に薬局で患者と接する部分以外の内勤業務はオンラインでつなぐことができるので、患者とのやり取りが終わったら即帰宅で家で薬歴など問題なく可能です。雇われているとそうしたくてもセキュリティなどで薬局内だけしかダメですというところもあるでしょう。
システム会社などと相談しながらセキュリティ対策を行えば、時間に縛られない業務が可能になります。
社長の経営者の知り合いが増える
薬局の社長だけでなく、色々な社長と知り合いになれます。医師、銀行、保険会社、薬局社長、施設などの長、車屋などの紹介などから始まって、なんだかわからないが社長という肩書の名刺が集まります。
メリットなのかはわかりませんが、人によっては知人が増えることに価値観を感じる方もいるので、そういったことが好きな方はオススメできる点になると思います。
自分自身はあまり人との繋がりが好きではないので、あまり交流を深めていません。
耳に届く情報量が増える
雇われ薬剤師と独立後では耳に届く情報量は多く異なります。
どんな情報もインターネットを通じて入手することはできますが、受動的に情報が入ってくるので時間を情報入手に割く時間が少なくなります。
薬剤師に必要な情報としては、薬剤・周辺機器・調剤報酬の情報はメーカーから、税金・借入・保証・補助金は税理士や銀行、保険セールスから、人材トレンドなどは転職エージェントなどの紹介会社から受動的に定期的な情報を入手することができます。
与えられた情報から選別することができるので、調べる労力を決断に向けることができます。
即決、即行動ができる
一般的に企画を考えたときには、企画書を上司に提出し、上司からさらに上司に相談、1ヶ月くらいかけて検討を繰り返し、その結果として行動が遅くなる。そもそも企画が通らない。
社長はまったく違います。「これをやろう」→「発注しました」という形で0日で企画スタートできます。行動力にすべてを掛けることができ、1ヶ月くらい早くスタートできるメリットがあります。
自分の嫌いな人と働かなくて良くなる
面接も自分で行うことができるので嫌いな社員を雇う必要がありません。
取引先に関しても自分の好きな人とだけ関われば良いので、人間関係に悩んだりすることもなくなります。苦手な上司やパワハラ、セクハラもなく仕事ができるのでストレスが軽減できます。
イエスマンだけを優遇しているわけではないのですが、「この会社は自分のやりたいことをやっている自分の会社」なので反対派を採用しても仕事が遅くなるだけなので意味がないですよね。もちろん意見を求めることはありますが、新しいプランを出しても方向性を否定する社員はいません。
(さらにこれは余談ですが、自分のお店を持っているので、私のことが嫌いな患者さんは来なくても良いと思っています。少し冷たくしてでも、自分のことが好きな人だけで構成するように接しているので、薬局業務でも人間関係のストレスがなく、クレームもゼロで運営できています)
使える節税策が増える
またお金のメリットです。中小企業の役員は節税策がいくつか使えます。
通常使用できるようなふるさと納税、iDeCo、NISAに追加して小規模企業共済なども加入することができるために節税手段などがあります。その他にも節税手段はあり、日ごろから税理士や銀行と接することの多い社長では今までよりもそのような手段を教えてもらうことは多くなります。
そもそも事業の経費と給与から考えても税の優遇はあると思います。
やりたくないことはしなくても良くなる
自分自身の苦手な分野を支えてくれるのが従業員です。例えば、薬剤師の調剤業務が苦手だと思えば、調剤業務だけをやってくれる人を雇えば良く、薬歴が苦手であれば機械やシステムを導入すればよい。
好きなことに100%の時間を費やすことができるので、モチベーションも高くいることができます。
私の場合では、税金関係は苦手→税理士、お金の計算が苦手→経理事務、社員の教育に時間がかかる→外部委託、昇給などの面談の手間→役員の増員、といった形でやりたくないことを自分の周りから外していっています。
1年目はなんでも自分でやっていましたが、利益は上がっても疲労度が大きく、次の展開まで遅くなることが分かったので、少しずつ分業体制を取るように変更しています。
社員を大切にできる
今、読んでくれているあなたの社長はあなた自身を大切にしてくれていますか?
あなたにとっての理想の社長はどんなことをしてくれますか?
私にとっては社員は家族のようなものです。良いことがあったら一緒に喜びたいし、生活自体を満足できるようにサポートしたいと思っています。従業員が30名未満の小さい会社なので、全員に目を配ることができます。社員満足度を上げるために福利厚生制度があるのです。
福利厚生費を経費計上するためには一定の条件はありますが、ざっくりと「社員全員が対象となる」ということが満たされている必要性があります。逆を言えば、社員全員が対象となるようなことに関しては福利厚生として還元できるかもしれません。
単純な食事会だけでなく、講師を招いた勉強会、観劇、エステ、旅行など様々な対象を広げることができます。大企業では目が届きませんし、全員が満足するものが難しいのが現状です。「こんなの誰が使うの?」というような福利厚生も大企業には多くありますが、そういった無駄を省いて、自分自身の従業員に合ったものを提供できるものメリットだと思います。
数字に強くなる
今までなんとなくで聞いていた数字が具体的にイメージできるようになります。
独立前:保険収入が1,200万円でした
→今月は調子が良かったですね
独立後:保険収入が1,200万円でした
→粗利が42取れているので、比較的技術料などがよかったのかもしれない、保険点数などが効率的に取れている可能性や、小児などの技術料単価が比較的高い患者の増加が見られたのかもしれない、前月の粗利からの比較で在庫の減少があっただけなのかもしれない
数字を見て想像が大きくできるようになる。また、その数値の意味をとらえることができるようになるのもメリットになります。社長になると普段見えない数字と出会うことができるので数字に強くなる傾向があります。
自身の努力が給与に直結する
これはもちろんのメリットです。誰もが想像できるでしょう。
大きな企業に働いていると、2割程度いるあまり働かない人を、その他の8割の人で支える構造が出来上がります。しかし、その2割の人も8割の人も給与は同じです。これがモチベーションを下げるきっかけになります。
独立すると、自分の仕事が売り上げに直結します。忙しくなれば給与はもちろん増やすことができます。さらに1店舗、2店舗では中間管理職的な(何やっているのかわからない)ポジションの人も必要がなくなるために、各現場で完結することができるようになります。そうすることによって社長だけでなく、従業員の給与も増やすことができます。
責任感が強くなる
すべての決定権を自分で担うことができます。
その代わり責任は自分自身が負うことになります。
クレーム対応、社員のミス、不測の事態にすべて対応しなければなりません。ただし、社員に対してその姿勢を見せることがプラスになります。発言も注意するようになります。
責任感が強くなることで、自身のマインドも鍛えられます。人としての成長もできたのではないかと思います。
ストレスが減る
先述しましたが、ストレスが減ります。
私が考える働くストレスの要因は2つです。
1.やりたくない仕事をやらされている
2.人間関係がうまくいかない
この2点を解決できるのが独立です。やらされる仕事はなくなり、人間関係もコントロールすることができます。さらに時間もうまく使うことができれば、ローシーズンに旅行に行ったり、ディズニーリゾートに平日に行ったりで解消するきっかけも作ることができます。
勉強するモチベーションになる
製薬企業に勤めていた時に先輩から「今後の昇進のためにMBAとかとっといた方がええよ」と言われていました。実際に複数の先輩はMBAの取得していました。働きながら資格取得なんてすごいですよね。
しかし、それを本当に活かせるのでしょうか?
一般社員で任せられる通常業務の範囲を超えているのではないでしょうか。そもそも…一般社員にMBAを活かすようなことなど期待していないのではないでしょうか。上司としては、与えられた仕事を従順に「早く」「ミスなく」だけやってくれることだけを期待しているかもしれません。
たった6年ですが、経営者として会社を運営してきました。わからないことだらけなので、その都度勉強してすぐに業務に反映させています。勉強したことが今日から活かさせるのであれば、時間を掛けて勉強しようというモチベーションになります。
資格も業務に必要であれば考えれば良いと思います。いつ必要かわからない資格よりも、必要性を迫られた勉強の方が役に立つかもしれません。
家族からの信頼も厚い
「仕事を頑張っている父親カッコイイ!」と思ってくれているハズ…
というのは冗談で、評価軸の話です。
雇われ薬剤師では評価軸は上司であり会社です。その基盤を作るのが、患者、患者家族、取引先、同僚、売上などになります。その基盤のどこかに穴があると出世ができません。しかし、その穴の原因があなたにあるとは限りません。
出世できないことに対して家族はプラスに考えてくれることはありません。さらに転勤などに巻き込まれることでさらに家族からの不満は溜まってしまうでしょう。「お父さんはこんなに頑張っているのに評価されない」と家族は思うでしょう。
独立して評価される側から抜けるだけで、患者だけの評価軸に変化することができます。転勤などの無駄なストレスに巻き込む必要もなく、出世レースという肩書マウンティングも関係なくなります。
独立前は「働くのは会社(上司)のため」、独立後は「働くのは家族のため」です。
夢や目標が広がる
1つ事業をやってみると、他にやりたいことが見つかると思います。
事業資金の流れが見えるので夢の範囲ではなく、やりたいことを具体化することができるようになります。現在は36歳ですが、40歳までには今頭の中に描いている事業を取り組んでみたいと思っています。最近はこの夢についていろんな方に相談しています。
36歳で夢を語るのもいいものですよ。
まとめ
上記が独立するメリット20選です。実際には価値観は様々なので、上記のメリットをメリットに思わない方もいるかもしれません。しかし、この20選をすぐに書き上げるくらいパッと思い浮かぶ範囲でこのくらいが挙げられます。そのためにこれ以外のメリットもかなりあると思います。
社長になってこれ以外のメリットを共有させてください。