認定薬剤の申請を検討していたら、新規40単位のうち20単位までしか他のプロバイダの単位を受けられませんって言われました。プロバイダってなんでしょうか?
日本薬剤師研修センターでの申請を行おうとしていたようだね。最近になって各プロバイダによって単位の取り扱いに異なる部分が出てきたから注意が必要になるよ。それではプロバイダについて調べてみよう。
認定薬剤師のプロバイダってなに?
プロバイダは薬剤師がどの地域、どの団体に所属していても、薬剤師の生涯学習のサポートを行えるように認証された機関になっています。プロバイダが独自に各種研修などを行って、その地域などの薬剤師の生涯学習の提供を行っています。認証されたプロバイダは一定の基準を満たしていて、各プロバイダの優劣などはなく、全国一律の認定薬剤師として評価されます。
以下はプロバイダ認定機関である公益社団法人薬剤師認定制度認証機構から
生涯研修プロバイダーの認証を受けるには
現在、各種の団体(大学、同窓会、職域団体等)や任意の組織で、薬剤師の生涯学習のための研修会などが実施されていますが、それらの中で、薬剤師の職能向上に役立つ内容の研修を、責任を持って計画的に提供できる、継続性のある組織や団体であれば、生涯研修プロバイダーとして独自の認定制度を始めることができます。
生涯研修プロバイダーの機能
生涯研修プロバイダーの機能は、質の高い研修等の提供と、受講生に対する単位給付と、認定証発行です。生涯研修プロバイダーは、非営利の組織であって、適切な研修プログラムを計画し実施するための体制を備え、種々の履修法により誰でも受講できるように研修は原則としてすべての薬剤師に対して公開とし、受講者に対して妥当な単位を給付し、研修内容の評価や受講者の受講記録等の体制を有し、資格取得者を認定することのできる機関である必要があります。
認定薬剤師プロバイダ一覧
他のプロバイダの単位等の取り扱い
プロバイダー名 | 新規及び更新時の他のプロバイダー単位の 受け入れ条件 | 他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱い |
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G01 公益財団法人 日本薬剤師研修センター | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 他の認定制度の認定薬剤師の 更新は取り扱わない |
G02 東邦大学薬学部 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G03 一般社団法人 薬剤師あゆみの会 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G04 慶應義塾大学 薬学部 | 他のプロバイダー単位について制限(条件)は 設けていない | 更新条件を満たせば更新する |
G05 一般社団法人 イオン・ハピコム 人材総合研修機構 | 他のプロバイダー単位について制限(条件)は 設けていない | 更新条件を満たせば更新する |
G06 明治薬科大学 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G07 神戸薬科大学 エクステンションセンター | ●新規40単位のうち35単位以下 ●更新30単位のうち20単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G08 公益社団法人 石川県薬剤師会 | 他のプロバイダー単位について制限(条件)は 設けていない | 更新条件を満たせば更新する |
G09 新潟薬科大学 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G10 北海道科学大学 | ●新規40単位のうち25単位以下 ●更新30単位のうち20単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G11 星薬科大学 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G12 一般社団法人 昭薬同窓会・平成塾 | ●新規40単位のうち25単位以下 ●更新30単位のうち20単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G13 一般社団法人 薬学ゼミナール 生涯学習センター | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G14 北海道医療大学 | ●新規40単位のうち25単位以下 ●更新30単位のうち20単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G15 埼玉県病院薬剤師会 生涯研修センター | 他のプロバイダー単位について制限(条件)は 設けていない | 更新条件を満たせば更新する |
G16 一般社団法人 日本女性薬剤師会 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G17 日本大学薬学部 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G18 一般社団法人 薬局共創未来人財育成機構 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G19 昭和大学 薬学部 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G20 一般社団法人 ソーシャルユニバーシティ 薬剤師生涯学習センター | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G21 公益社団法人 神奈川県薬剤師会 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G22 近畿国立病院薬剤師会 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G23 一般社団法人 上田薬剤師会 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G24 学校法人 京都薬科大学 | ●新規40単位のうち20単位以下 ●更新30単位のうち15単位以下 | 更新条件を満たせば更新する |
G25 公益社団法人 日本薬剤師会 | – | 現在、他のプロバイダー認定証の更新の取り扱いは行っていない |
プロバイダー名(特定領域認定制度:P) | 新規及び更新時の他のプロバイダー単位の 受け入れ条件 | 他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱い |
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P01 NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター | ●新規:2年以内(最初に単位を取得した日より起算 して)に50単位取得し、 うち他のプロバイダー単位は20単位以下 ●更新:1年間で 30 単位取得し、 うち他のプロバイダー単位は10単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
P02 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会 | 単位取得では、他のプロバイダーの講演、シンポジウム、ワークショップ、e-ラーニング等は本会が指定したこと(指定講座)が条件となる ●新規 :4年以内に50単位取得し、 うち本会指定の研修受講で得た単位は20単位以下 ●更新 :3年以内に30単位取得し、 うち本会指定の研修受講で得た単位は10単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
P03 一般社団法人 日本在宅薬学会 | ●新規 :3年以内に40単位取得し、 うち他のプロバイダー単位は15単位以下 ●更新 :3年以内に30単位取得し、 うち他のプロバイダー単位は10単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
P04 一般社団法人 日本病院薬剤師会 | 単位取得では、他のプロバイダーの研修会は本認定制度研修カリキュラムに沿った内容の研修会であることが条件となる ●新規:3年間で50単位取得し、うち他のプロバイダー単位は10単位以下 ●更新:6年間で100単位取得し、うち他のプロバイダー単位は20単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
P05 神戸薬科大学 | 単位取得では、他のプロバイダーの研修会は健康食品領域に関するものであることが条件となる ●新規:4年以内に40単位取得し、うち他のプロバイダー単位は10単位以下 ●更新:3年以内に30単位取得し、うち他のプロバイダー単位は10単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
P06 一般社団法人 日本くすりと糖尿病学会 | 単位取得では、他のプロバイダーの研修会は糖尿病に関するものであることが条件となる(プログラム添付必須) ●新規 :准認定薬剤師取得後20単位取得し、うち他のプロバイダー単位は5単位以下 ●更新 :5年以内に50単位取得し、うち他のプロバイダー単位は15単位以下 | 現在、他のプロバイダー認定証の 更新の取り扱いは行っていない |
どのプロバイダで認定を申請すれば良いの?
企業によってはこのプロバイダでの研修は会社で持つなどもあるかもしれないませんので、その場合には企業の方針に従って良いと思います。結局どこでも良いでしょうというのが認証機構の回答になります。
1点だけ不安なことは認証機構に記載されている下記文面です。
プロバイダーの研修の質が低い状態になったときには?
研修プロバイダーの行う研修の内容については、受講者によるモニタリングが重要であると考えています。受講者が、自ら参加した研修についてコメントがあれば、主催者、あるいは認証機構に申し出て欲しい旨を広報したいと考えています。もし質的に基準に適合しないという事実がはっきりすれば、 「認証事業実施要綱」16項および 「認証に当たっての確認事項」第7項により認証を取り消し公表します。
認証が取り消されたときにその単位やその認定はどうなるのか読み取れませんでした。もちろん怪しい団体などは認証されていませんが、将来的に見たときに信頼できる機関に所属することも念頭に置いてください。
以上を踏まえたうえで、私自身は日本薬剤師研修センターでの認定を受けています。日本薬剤師研修センターでの認定取得会員数が多いこと、さらに研修の体制がはっきりとしていることが選択の理由として挙げられます。
もし所属団体が日本薬剤師会に所属していて会員であるならばJPALSでクリニカルラダー5を目指すのも良いと思います。このクリニカルラダー5までは最低でも4年は掛かるはずなので、上記の日本薬剤師研修センターなどの認定と並行して行っていくことをオススメします。JPALSのe-ラーニングも面白いものがあるので、登録を行って一度見てみてください(古いものもかなりあるので注意が必要です)。