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賞与と社員育成について考える

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たった数店舗、数十名の従業員であっても賞与の時期は私にとっても従業員にとっても大切な時期になります。私自身の賞与の考え方と、40店舗以上のエリアマネージャーの賞与を見たときの感想などの私見を記事にしました。

賞与について

賞与については、支給の有無及び金額について企業に裁量が認められています。そのために

1.賞与は、会社の業績によって、不支給とすること、あるいは支給額を減らすことが可能

2.賞与は、各従業員の勤務実績に応じて、不支給とすること、あるいは支給額を減らすことが可能

と言えます。

不支給は経験したことがありませんので、実際に手続きはありませんが、私の会社の場合には7月賞与が予定付となっているので、6月中旬に「賞与不支給報告書」が送られ来ました。こちらの提出が必要になるようです。令和3年4月からの様式になっているようです。

賞与をどのように設定するか

自由に設定して問題ありません。

私の場合には最低ラインは夏○○ヵ月、冬○○ヵ月と設定し、その上乗せ部分を特別報奨金として支給するようにしています。2階建てのイメージになっています。

期待と感謝を明確にした設計にする

賞与に関して意識しているところは、従業員への「期待」と「感謝」です。半年ごとの賞与が設定されているので、業績の寄与が大きい場合の感謝を特別報奨金に乗せます。さらにその従業員に対する成長の期待(辞めないでほしいという想い)を上乗せして算出しています。そのために、賞与のタイミングこそが社員の成長を促す機会と考えて大切にしています。

面談は各管理薬剤師で行ってもらっています。私自身も管理薬剤師なので、自店舗以外の社員の働き方までわからないので、そこは全幅の信頼を置いている各管理薬剤で面談を行ってもらっています。どんな様式でも良いので、「店舗としてどんな感謝があるのか」「今後はどの程度成長できそうなのか」「その成長で店舗に何をもたらすことができるのか」を管理薬剤師からもらうようにしています。

管理薬剤師の評価を横並びにして、それをもとに全従業員に手紙を書きます。査定額とその根拠を明確にするために「店舗への貢献の感謝」と「あるべき姿」を伝えるようにしています。

私の場合は20名未満の小さな組織なので手紙も可能ですが、フワッと渡さないということは重要なことではないかと思います(従業員に響いているかはわかりません)。

調剤報酬と賞与をリンクさせない

かかりつけ○○名で○○円、報告書成績上位○○名で○○円というような賞与設定は行わないようにしています。こういった賞与設定を行っている企業もありますが、人参をぶら下げて活動させるという考え方は医療(生命関連企業)業界として疑問を感じます。

この点を個人の成長の期待で置き換えることで、最終的に個々の活動として、かかりつけの件数や報告書の件数など伸ばすことができています。人参など提示しなくともプライドを持って活動できる薬剤師と事務を育てることを意識しています。

目の前の利益と患者を天秤にかけさせないことで、個人が自由に患者の利益を追求できるように指示しています。

賃金体系を複雑にしない

中途採用の面談時に40店舗以上を有する規模もエリアマネージャーの方が募集に来たので、年収の参考として月次給与と賞与の明細を持ってきてくれました。

とても複雑でした。賞与の明細でも「基本給」「職務給:職務等級」「エリアマネージャー手当」「全査定:B」「エリア査定:B」「店舗運営:A」のように縦に10行以上並んでいました(実際の記載とは少し異なります)。その右には各種控除などが縦に並び、第3者は見ていてもよくわからないものでした。

わざわざ1つずつに金額が割り振ってあり、とても立派な明細でしたが、従業員にとって一番重要な総支給が少ないという悲しい明細だったのを覚えています。

この明細を見たときに2つの違和感を感じました。

何を評価されているのかわからない

各種の評価などが記載はありましたが、評価されている部分がわかりづらいと感じました。エリアマネージャーのレベルではどうしようもないところを背負わされており、さらにエリアマネージャーが何もしていないところまで評価されているのではないかと感じるものでした。

総支給に不満があっても言い出しにくい

その企業の狙いだと思います。不満があっても言わせないというよく練られた戦略です。1つずつに金額を設定することで、「どこを上げてほしいのか」と会社の問いに対して、各項目でしか不満を出させないようにしているのだと思います。各項目などは±5万くらいのものなので、上がっても雀の涙程度となるのが関の山です。

手間と人事考査を考えると5万円程度のために、反旗を翻すこともないので、不満があっても諦めてしまっている方も多いのではないかと思います。

賞与月のキャッシュフローには注意

2年前の段階ではあまりキャッシュフローなど意識をしていませんでした。気が付くと売上は上がっているが現金がないという企業として最も危険な状態になりかけました。そのタイミングで賞与の時期が重なってしまったので、3つの選択肢を税理士と話しました。

1.賞与支払い分の予算を銀行から短期借入を実施する

2.特例的に賞与月の後ろ倒しを従業員に依頼する

3.役員報酬を未払い計上する

1は税理士、銀行ともに了承でした。1は従業員の満足度を下げたり、予定を狂わせる可能性があり、会社への不信感などの原因となるために却下されました。3も個人的には問題はなかったのですが、税理士的には最終手段としておきたいと言われました。

銀行に相談しつつ短期融資の話まで進むことができていたのですが、最終的な資金をチェックしたところギリギリいけるかもしれないということで、融資なく賞与の支払いを済ませることができました。通帳の残高が危なかった。

この経験からキャッシュフローは特に意識する必要があると実感しました。

※2018年度の「倒産企業の財務データ分析」調査によると、倒産した企業のうち赤字倒産した企業は52.2%、黒字倒産した企業は47.7%となっており、キャッシュフローの意識が抜けることの危険性はこのデータからもわかると思います。

まとめ

今回の記事はあくまでも私見です。

そのように賞与を運用するか、従業員に還元するかは各企業の考えた方次第です。

ちなみに前述したエリアマネージャーの例をとれば、私の会社の事務員とあまり変わらない賞与だったので、エリアマネージャーという肩書と評価報酬が合っていないと感じました。

私の会社の支給日まであと1週間ちょっとです。銀行に行って残高が間に合っているか確認してきます。