ストーマのある方の来局、もしくはストーマ造設の可能性がある患者の来局に備えましょう。
流れなど覚えておく必要はないですが、聞かれたことが全くわからないということは患者さんとの信頼関係を損なう可能性があります。薬局でもできること、市町村などに繋げるところなど頭を整理しておきましょう。
市町村役場の障害福祉課などが管轄していることが多くあります。困っている方がいれば患者さんには詳しい内容は障害福祉課で専門家に相談するように繋げると良いでしょう。また、病院ではソーシャルワーカーなどが対応できると思います。
適切なところに繋げることで、患者さんとの信頼関係を深めてください。
社会福祉制度をうまく利用しよう
身体障害者手帳の交付
身体障害者手帳の交付を受けることで各種サービスを受けることができるようになります。例えば①医療費助成 ②公共料金の割引 ③税金の免除・減額 ④日常生活用具の給付 ⑤障害者雇用などがあります。ほとんどの方は理解されているものですが、本人や家族から質問されたときに対応できるようにしておきましょう。
日常生活用具は薬局が窓口になることが多くあります。例えば、病院の門前薬局で日常生活用具も購入していた方が、地域の薬局に薬局を切り替えたときに「あそこではやってくれたのに…」ということが生じてしまいます。
薬局を切り替えた際にも滞りなく日常生活用具が受け取れるようにしておくことが重要です。
身体障害者手帳交付までの一般的な流れ
Step1:市町村役場で必要書類をもらう
「身体障害者手帳交付申請書」「身体障害者診断書(膀胱・直腸用)」をもらいましょう。
身体障害者手帳の等級はストーマの種類や障害の程度で異なるために注意が必要です。担当窓口で手術を受けた病院に指定医がいるのかも確認してもらいましょう。
Step2:病院で診断書を作成してもらう
指定医に「身体障害者診断書」を記入してもらいましょう
Step3:市町村役場で申請を行う
「身体障害者手帳交付申請書」を記入して、「身体障害者診断書」と一緒に提出します・
Step4:障害者手帳が交付される
手帳の交付までには1~2ヵ月掛かることもあります。
自身の受けることができるサービスに関しては窓口で確認してください。
一時的ストーマの方は原則として申請できません。
日常生活用具給付の申請までの流れ
Step1:市町村役場で申請を行います
「日常生活用具給付申請書」を記入します。
Step2:業者に「見積書」の発行を依頼します
ストーマ装具販売業者に「見積書」を発行してもらう。
ここが薬局の出番です。
ストーマ購入の求めがある方にはストーマの型番やそれに付随する周辺物品についても確認して見積書を作成しましょう。薬局と役場が直接やり取りをしてStep4に移行することがあるので、薬局からも見積書が作成できたら役場に流れを確認しておきましょう。
Step3:市町村役場に見積書を提出します
Step4:市町村役場から「給付券」を受け取ります
「給付券」を受け取ったら業者にてストーマ装具と引き換えます
薬局と役場での直接やり取りの場合には「給付券」は薬局に郵送されることがあります。患者側には「日常生活用具給付決定通知書」が送られます。
障害年金の支給
年金に加入している方は、障害の程度などの一定条件を満たす場合に障害年金の支給を受けることができます。障害年金には、①障害基礎年金、②障害厚生年金の2種類がありますので各種年金の相談窓口に繋げてあげましょう。
障害基礎年金→市町村役場が窓口
障害厚生年金→年金事務所、年金相談センターが窓口
医療費控除
医療費控除
生計をともにする配偶者や親族の療養費も含め、1年間(1月1日~12月31日まで)に支払った医療費が10万円または年間所得(200万円未満の人)の5%を超えた場合には、税金が還付されます。
ストーマ装具の購入費用は、医師が記入した「ストーマ装具使用証明書」を、医療費控除の明細書とともに確定申告時に提出すると医療費控除の対象となります。
高額療養費
1か月(1日~月末まで)にかかった医療費が高額になった場合、一定の金額(自己負担限度額、表1)を超えた分が、後で払い戻される「高額療養費制度」があります。
まとめ
ストーマを造設した方は「精神的」「経済的」に負担を感じる方がいます。
ストーマの周辺知識を備えることで、薬局が相談窓口の1つになることができます。信頼関係を構築して、調剤の実績に繋げていくことも集患対策になりますので整理してみてください。