地域支援体制加算
地域支援体制加算2を狙いたい
地域支援体制加算は薬局の「生き残る術」を教えてくれている加算。加算の算定有無だけではなく、国が求めている方向性の指針として理解をしておくことが重要です。
地域支援体制加算の点数
地域支援体制加算1:32点
地域支援体制加算2:40点
地域支援体制加算1と2でどちらを狙うか迷ったら
あなたの薬局が仮に1000回の受付があるとすれば、地域支援体制加算1と2の差【8点】が与える価値は粗利プラス8万円/月です。粗利プラス8万円は扶養内パートを1名(事務 or 薬剤師)を雇用することができます。
扶養内パートを増やして自分自身の仕事を楽にする方が良いか、新規雇用することなく算定するストレスを避けるかという選択で検討してください。
もう地域支援体制加算1でいいか…
私としては、ストレスを掛けてでも地域支援体制加算2を狙うべきだと考えています
要件をクリアしていくことで確実に患者の満足度が上がります。地域支援体制加算の算定を目指すことで「働き方」「患者へのアプローチ方法」の改善につながります。
地域支援体制加算2の要件
色々要件が書いてありますがシンプルに考えましょう
調剤基本料1を満たしている薬局は下記10項目から8項目のクリアで算定が可能です。
その他に細かい要件(敷地内禁煙・OTC48薬効群etc…)はありますが、この下記10項目以外の要件はやろうと思えばいつでもクリア可能なので無視して考えましょう。
①夜間・休日等の対応実績 | 40回 |
②麻薬の調剤実績 | 1回 |
③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 | 20回 |
④かかりつけ薬剤師指導料等の実績 | 20回 |
⑤外来服薬支援料1の実績 | 1回 |
⑥服用薬剤調整支援料1+2の実績 | 1回 |
⑦個人宅在宅の実績 | 24回 |
⑧服薬情報等提供料に相当する実績 | 30回 |
⑨小児特定加算の算定実績 | 1回 |
⑩多職種と連携する会議への出席 | 1回 |
諦めるにはまだ早い
10項目のうち絶対に諦めてはいけないのは④⑤⑥⑧⑩です。自発的な行動でこの5項目は確実にクリアが可能になります。算定要件をしっかり確認しましょう。
残るはあと3項目です。残りは自発的な行動だけでは解決できず、患者側・処方箋側の協力が必要になります。
待っていたらダメだ!原因を環境のせいにすると思考が止まるぞ!環境を変えるためには行動しかない
算定するための営業活動を忘れていないかチェック
①夜間・休日等の対応実績
処方箋1000枚あたり4枚の算定です。
営業時間の変更は可能か検討してみましょう。
土曜日の営業時間を13時以降、平日19時以降に残業しているのであれば、ここは開局しておきましょう。朝も8時前に仕事を始める人がいれば開局時間に充てましょう。併せて周辺地域へ周知させるためにチラシも作成しておきましょう。
たったこれだけで私の薬局は加算実績をクリアしています。
②麻薬の調剤実績
年間約1枚です。
麻薬処方箋の流入は「ペインクリニック・病院」「(ターミナル)在宅」が考えられます。この2つを捉える必要がありますが、「ペインクリニック・病院」に営業しても患者を回すのは難しいと思われます。
そのために地域で「(ターミナル)在宅」をしているクリニックを検索して営業を掛けましょう。1名でも紹介してもらうことができれば、麻薬の調剤実績をクリアすることができます。
③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績
処方箋1000枚あたり2枚の算定です。
これに関しては「残薬」「薬学的観点から必要と認める事項」の2点で算定件数クリアを目指すのが最短です。常に意識すれば確実に算定できます。日常の仕事に加えて下記の聞き取りと処方変更提案を行うだけです。
・残薬の調整のための処方日数変更
・併用禁忌・併用注意の薬剤を他の薬に処方変更提案
・過去の副作用から薬剤の処方変更提案
・コンプライアンス不良から用法や剤型の処方変更提案
※「薬学的観点」を薬歴に記載しておくことが重要です。
⑦個人宅在宅の実績
処方箋1000枚当たり月に2回の算定で達成可能です。
「②麻薬調剤の実績」と一緒に達成するために、営業をターミナルを行っている在宅医に絞っても良いと思いますが、個人宅在宅の実績だけであれば、(服薬コンプライアンスの悪い・通院困難な)外来受診の患者を在宅に回せないか検討してみても良いかもしれません。
特に服薬服薬コンプライアンスが悪い方では月2~4回での訪問を提案するケースがあるので、1名でも個人在宅の件数は達成可能になることがあります。
⑨小児特定加算の算定実績
処方箋1000枚で1名のフォローアップで達成できます。
小児特定加算に関しては「うちの薬局に対象患者がいない」と諦めているケースも多く見受けられます。しかし、ほとんどのケースで地区に対象がゼロということはないと思われます。
下記をやってみてダメなら諦めましょう。行動しないと待つだけの項目になります。
・地区のNICUがある病院の地域連携室と薬剤部に営業
・小児慢性特定疾患指定医療機関【訪問看護】のリストから営業
・各都道府県の医療的ケア児支援センターのHPをチェックして勉強会参加、医療的ケア児コーディネーター養成研修などの勉強会に参加
こういった営業を行ったところ、現在4名の医療的ケア児(在宅を含む)をフォローアップしています。
この5項目の中から自分なりにイメージができる3項目の達成で、地域支援体制加算のハードルがクリアになります。症例が限られているので、すべての項目を同時並行で進めていくことが必要です。
地域支援体制加算1の要件
地域支援体制加算1の場合に意識するポイント
調剤基本料1を満たしている薬局は下記10項目から3項目のクリアで算定が可能です。かかりつけ薬剤師指導料のみ必須になりますので、それ以外は2項目の達成で算定可能です。
①夜間・休日等の対応実績 | 40回 |
②麻薬の調剤実績 | 1回 |
③重複投薬・相互作用等防止加算等の実績 | 20回 |
④かかりつけ薬剤師指導料等の実績 | 20回 |
⑤外来服薬支援料1の実績 | 1回 |
⑥服用薬剤調整支援料1+2の実績 | 1回 |
⑦個人宅在宅の実績 | 24回 |
⑧服薬情報等提供料に相当する実績 | 30回 |
⑨小児特定加算の算定実績 | 1回 |
⑩多職種と連携する会議への出席 | 1回 |
間違っても地域支援体制加算1を狙って行動してはいけない
下記が令和4年度調剤報酬改定の地域支援体制加算です。今回のものと比較すると「達成するべき項目が増えて」「達成する回数が減った」この2点がポイントだということがわかります。
①麻薬小売業者の免許を取得している |
②直近1年間に在宅業務の実績が24回以上ある |
③かかりつけ薬剤師指導料またはかかりつけ薬剤師包括管理料の届出を行っている |
④服薬情報等提供料等の算定回数が保険薬局当たりで 年12 回以上 |
⑤研修認定取得薬剤師が地域の多職種と連携する会議に年1回以上出席 |
①時間外等加算または夜間・休日等加算の算定回数 | 400回 |
②麻薬の調剤実績 | 10回 |
③重複投薬・相互作用等防止加算の算定回数 | 40回 |
④かかりつけ薬剤師指導料 | 40回 |
⑤外来服薬支援料1の算定回数 | 12回 |
⑥服用薬剤調整支援料1+2の算定回数 | 1回 |
⑦「単一建物居住者1人」への訪問の(医療保険+介護保険)算定回数 | 24回 |
⑧服薬情報等提供料等の算定回数 | 60回 |
⑨研修認定取得薬剤師が地域の多職種と連携する会議への出席 | 5回 |
ここで3項目で止まっていると、次回の改定は算定が危うくなります。地域支援体制加算1の算定になってしまったとしても、この項目の達成は目指すべきです。
地域支援体制加算2が算定できたら
年間で100万円の差をどう捉えるか
仮に1000枚の処方箋を応需しているとすると、地域支援体制加算1の算定と比較をすると粗利(技術料)が年間100万円増えます。ざっくりとした計算です。
2000円/時の薬剤師パートを新規に雇用すると仮定すると、500時間分の仕事を任せることが可能です。休暇を取得したり、新規事業に投資することも可能です。
地域支援体制加算1の算定となったら
地域支援体制加算1を算定することになったら、具体的に「何が」不足しているのか確認しておくことが必要になります。
地域支援体制加算1の算定となった場合には、このままだと2年後の令和8年度調剤報酬改定の32点があるうちに、地域支援体制加算2のハードルを達成できるように設備投資・人員補強をしておかなければなりません。「時間的な制約」「営業不足」「保険調剤の理解」の3点の要因をカバーする設備投資を意識していきましょう。
32点の加算がまだ残っているうちに、次回改定に向けての強化を意識することが重要です。自分のお財布だけを満足させていたら…
地域支援体制加算のまとめ
細かい施設基準に関しては個々で確認する必要があります。細かい項目は1週間程度で作り変えることができるので、上記で挙げたような算定項目だけを意識することが重要です。
算定項目に悲観するのではなく、薬局に落とし込んで行動を変えていくことで確実な算定が可能になります。