在宅薬学総合体制加算を狙いたい
在宅薬学総合体制加算1手間が掛かるのは1項目のみ、その他の項目はすぐに達成可能。早めに手間のかかる項目を潰して確実に算定しましょう。
在宅薬学総合体制加算2を算定する場合には、自店舗の状況を見つつ算定を進めるか決めましょう。
在宅薬学総合体制加算の点数
在宅薬学総合体制加算1:15点
在宅薬学総合体制加算2:50点
在宅薬学総合体制加算の施設基準
この加算の位置づけは前改定まで存在していた在宅患者調剤加算と同等です。加算1は在宅患者調剤加算と並行した位置づけ、加算2は機能強化薬局向けに高い点数が付けられています
在宅薬学総合体制加算1
他の項目の細かい部分は、この最下段を見つつ揃えれば特に困難なものはありません。
在宅薬学総合体制加算2
下記2点のいずれかがハードルとしては高くなります。他の項目は特に困難なものはありません。この2点を考えれば算定可能でしょう。
または
在宅薬学総合体制加算2を狙うライン
この加算は在宅患者の処方箋1回につき算定できるので回数を稼げるような施設を持っている薬局は算定を考慮に入れてもいいかもしれません
ザックリと計算をしてみる
【参考】私の薬局で新規に導入したクリーンベンチ(2024年4月)
気流方式:垂直気流方式
幅90㎜、奥行580㎜、高さ1740㎜のサイズ
プレフィルタ:不織布フィルタ、メインフィルタ:HEPAフィルタ
清浄度クラス:ISOクラス5
価格:65万円(税抜)
令和6年度改定の在宅薬学総合体制加算2のうちに回収を目指すとすると…
在宅薬学総合体制加算2(50点)ー在宅薬学総合体制加算1(30点)⇒差が35点
導入+メンテナンス⇒80万円
800,000(円)÷350(円)⇒2286回の在宅処方箋受付(全体)
2年で回収を狙うと考えると、2286÷2⇒1143回
注射の調製に全く使用せずに計算すると、1143回/年の在宅処方箋枚数があれば余裕で導入が可能です
1143回/年という数字はどの程度なのか
月に在宅処方箋枚数が95枚、18名のグループホームを2施設担当しているだけでも95枚に近い枚数になることもあります。また、老人ホーム、サ高住などでの居宅を行っている薬局は確実に算定できる枚数だと思われます。
グループホーム、サ高住、老人ホームなどの営業と合わせて算定を進めていくと良いでしょう。
2年間での費用回収を行うとともに…
今回の費用負担から考えると、クリーンベンチの導入に踏み切る薬局も多くなる可能性があります。
無菌処理を行っていなかった薬局もスタートすることで、既存の無菌処理依頼元にも他から営業が入る可能性があります。無菌処理依頼元へのPRも進めていきましょう。
オススメは他社に先駆けてPCAポンプの貸出など事業に膨らみを持たせることです。
在宅の乳幼児加算、小児特定加算の実績はどうか
今回の在宅薬学総合体制加算2に関しては2つの要件が定められていますが、実質的に在宅小児の要件は難しいと思われます。
そもそも無菌室、クリーンベンチがない薬局に小児在宅を依頼することが考えづらいという点からです。私の薬局では3名の小児在宅をフォローしていますが、それはいずれも無菌室があることによって依頼を受けています。
小児で中心静脈栄養などを使用しない場合には算定可能かと思われますが、圧倒的に依頼件数が少ないために、こちらを狙うよりはクリーンベンチを設置してしまう方が現実的かもしれません。
もちろん無菌室の借用でも応需している薬局はありますので、こちらの可能性もゼロではありません。
在宅薬学総合体制加算のまとめ
在宅薬学総合体制加算1は在宅を行っている薬局であれば必須項目として算定を狙っていくべきです。
また、在宅薬学総合体制加算2に関しては回数を目安として定めるべきです。無菌処理を全く行わない場合にもメリットが発生する場合があり、さらに薬局の機能を高めることが可能です。
グループホーム、老人ホーム、サ高住など施設に取り組んでいる薬局は今後も導入を検討してみても良いと思います
参考
在宅薬学総合体制加算の施設基準
1 在宅薬学総合体制加算1に関する施設基準
(1) 地方厚生(支)局長に対して在宅患者訪問薬剤管理指導を行う旨の届出を行っている保険薬局であること。
(2) 直近1年間に、在宅患者訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料、在宅患者緊急時等共同指導料、居宅療養管理指導費及び介護予防居宅療養管理指導費についての算定回数(ただし、いずれも情報通信機器を用いた場合の算定回数を除く。)の合計が計 24 回以上であること(在宅協力薬局として連携した場合(同一グループ薬局に対して業務を実施した場合を除く。)及び同等の業務を行った場合を含む。)。なお、「同等の業務」とは、在宅患者訪問薬剤管理指導料で規定される患者1人当たりの同一月内の算定回数の上限を超えて訪問薬剤管理指導業務を行った場合を含む。
(3) 緊急時等の開局時間以外の時間における在宅業務に対応できる体制が整備されていること。緊急時等に対応できる体制の整備については、在宅協力薬局の保険薬剤師と連携して対応する方法を講じている場合も含むものである。
(4) 地域の行政機関、保険医療機関、訪問看護ステーション及び福祉関係者等に対して、急変時等の開局時間外における在宅業務に対応できる体制(医療用麻薬の対応等の在宅業務に係る内容を含む。)に係る周知を自局及び同一グループで十分に対応すること。
また、同様の情報の周知は地域の行政機関又は薬剤師会等を通じて十分に行っていること。併せて、保険薬局が実施可能な在宅業務に係る内容についても周知を行うことが望ましい。
(5) 当該保険薬局において、在宅業務の質の向上のため、研修実施計画を作成し、当該計画に基づき当該保険薬局で在宅業務に関わる保険薬剤師に対して在宅業務に関する研修を実施するとともに、定期的に在宅業務に関する外部の学術研修(地域薬剤師会等が行うものを含む。)を受けさせていること。
なお、当該学術研修については、認知症、緩和医療、厚生労働省「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」等の内容を踏まえた意思決定支援等に関する事項が含まれていることが望ましい。
併せて、当該保険薬局の保険薬剤師に対して、薬学等に関する団体・大学等による研修認定の取得、医学薬学等に関する学会への定期的な参加・発表、学術論文の投稿等を行わせていることが望ましい。
(6) 医療材料及び衛生材料を供給できる体制を有していること。
また、患者に在宅患者訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局に対し保険医療機関から衛生材料の提供を指示された場合は、原則として衛生材料を当該患者に供給すること。なお、当該衛生材料の費用は、当該保険医療機関に請求することとし、その価格は保険薬局の購入価格を踏まえ、保険医療機関と保険薬局との相互の合議に委ねるものとする。
(7) 麻薬及び向精神薬取締法第3条の規定による麻薬小売業者の免許を取得し、必要な指導を行うことができること。
2 在宅薬学総合体制加算2に関する施設基準
(1) 1の基準を満たすこと。
(2) 次のア又はイを満たす保険薬局であること。
ア 以下の①及び②の要件を全て満たすこと。
① 医療用麻薬について、注射剤1品目以上を含む6品目以上を備蓄し、必要な薬剤交付及び指導を行うことができること。
② 無菌製剤処理を行うための無菌室、クリーンベンチ又は安全キャビネットを備えていること。
イ 直近1年間に、在宅患者訪問薬剤管理指導料の注5若しくは注6に規定する加算、在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料の注4若しくは注5に規定する加算又は在宅患者緊急時等共同指導料の注4若しくは注5に規定する加算の算定回数の合計が6回以上であること。
(3) 2名以上の保険薬剤師が勤務し、開局時間中は、常態として調剤応需の体制をとっていること。
(4) 直近1年間に、かかりつけ薬剤師指導料及びかかりつけ薬剤師包括管理料の算定回数の合計が 24 回以上であること。
(5) 医薬品医療機器等法第 39 条第1項の規定による高度管理医療機器の販売業の許可を受けていること。