最近、地震多いですよね。そういえば地震があったとき薬局って何ができますか?
東日本大震災や熊本の地震でも医療関係者はとても活躍をしていたね。「薬局は関係ない」なんてことはなく、行き届かないところの地域医療に貢献するのも薬局の働きだよ。
震災などの災害時にはルールが変わることがあるから、まずはそのルールから見てみよう。
災害時に発出された通知
処方箋医薬品の取り扱いに関する通知
1.処方箋医薬品の販売
平成23年東北地方太平洋沖地震における処方箋医薬品の取扱いについて
処方箋医薬品の取り扱い
医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合において、患者に対し、必要な処方箋医薬品を販売又は授与することが可能
2.処方箋医薬品(医療用麻薬・向精神薬)の販売
平成23年東北地方太平洋沖地震における処方箋医薬品(医療用麻薬及び向精神薬)の取扱いについて
医療用麻薬、向精神薬の取り扱い
医師等の受診が困難な場合、又は医師等からの処方箋の交付が困難な場合において、麻薬小売業者等が、被災者の患者さんの症状等について医師等へ連絡し当該患者さんに対する施用の指示(麻薬の施用にあっては麻薬施用者からの指示)が確認できる場合には、患者さんに対し、必要な医療用麻薬又は向精神薬を施用のために交付することが、可能であること。この場合、麻薬小売業者等において、医療用麻薬及び向精神薬を患者さんに提供した記録について、適切に保管・管理すること。
保険診療に関する通知
平成30年北海道胆振東部地震による被災に伴う保険診療関係等及び診療報酬の取扱いについて
1.保険医療機関等の建物が全半壊等した場合の取扱い
保険薬局である薬局の建物が全半壊等し、これに代替する仮設の建物等において調剤等を行う場合、当該仮設医療機関等と全半壊等した保険医療機関等との間に、場所的近接性及び診療体制等から保険医療機関等としての継続性が認められる場合については、当該診療等を保険診療又は保険調剤として取り扱って差し支えない
2.保険調剤の取扱い
通常の処方箋様式と異なる処方箋の場合の対応
①保険者番号、被保険者証・被保険者手帳の記号・番号の記載がない場合
被災により、被保険者証、健康手帳等を保険医療機関に提示できなかった場合、保険薬局において、加入の保険及び被用者保険の被保険者等にあっては事業所名、国民健康保険の被保険者及び後期高齢者医療制度の被保険者にあっては住所を確認するとともに、調剤録に記載しておくこと。
②保険医療機関の記載がない場合
処方せんの交付を受けた場所を患者に確認すること。なお、処方せんの交付を受けた場所が、救護所、避難所救護センターその他保険医療機関以外の場所であることが明らかな場合は、保険調剤として取り扱えない(救護所、避難所救護センター等で処方せんの交付を受けたと認められる場合には、当該調剤に係る報酬は救護所の設置主体である都道府県に請求)
処方箋の持参がない場合の対応(以下をすべて満たす場合)
交通の遮断、近隣の医療機関の診療状況等客観的にやむをえない理由により、医師の診療を受けることができないものと認められること。
主治医(主治医と連絡が取れない場合には他の医師)との電話やメモ等により医師からの処方内容が確認できること。
また、医療機関との連絡が取れないときには、服薬中の薬剤を滅失等した被災者であって、処方内容が安定した慢性疾患に係るものであることが、薬歴、お薬手帳、包装等により明らかな場合には、認めることとするが、事後的に医師に処方内容を確認するものとすること。
分割調剤に関する通知
平成23年東北地方太平洋沖地震及び長野県北部の地震の被災に伴う医薬品の長期処方の自粛及び分割調剤の考慮について
被災地以外の医療機関においては、医薬品の長期処方の自粛あるいは分割調剤の考慮など、必要最小限の最適な処方・調剤を行うよう指示
このような形で国から通知が発出されるから注意しながら行動しよう。ちなみにこの通知は各種災害時に出されているものをまとめているのだが、調べてみると災害発生の翌日~1週間までに発出されていることがわかるよ。地域の薬剤師会などと協力して、現在までにどんな通知がなされているのか確認しながら行動しよう。
災害時に注意しておくこと
患者対応
被災地は患者が押し寄せる場合が多い
近隣の医療機関と連携を行って、受け入れ態勢に関して整理を行う。
在宅・透析・酸素導入など行っている患者に連絡し、避難の支援を行う。
不安から薬など求めて来局する患者も多い。優先順位を立てながら寄り添うことも重要。
インスリン製剤を投与している患者
薬局では1型糖尿病患者はリストアップしておく必要があり、供給を最優先させることが重要。
インスリンの中断は1日であってもケトアシドーシスを起こすことがあるので、絶対にインスリン注射を止めないように指示を行う
基礎インスリンは食事が摂れなくても通常と同じ程度の量で継続。食事に応じて追加インスリンを投与する。災害時には食事の時間と量が乱れるので、食べた量に合わせて追加インスリンを打つようにする。
低血糖のリスクが高くなるのでブドウ糖の用意も薬局は行うようにする。
東日本大震災の際にはインスリン製造メーカー3社から発表された資料によると、凍結や高温、直射日光を避けて室温保存した場合でも少なくとも4週間は使用可能であるという報告があるので患者には適切に指導を行うようにする。
災害が起きる前に準備しておくことが重要
日頃から従業員の訓練を行って、下記のマニュアルに目を通しておこう。