前職は6年間いたのですが、残業も多くて大変でした。少しでも働きやすい職場探したくて応募しました。退職金?そんなのもらってないですよ?
実は最近こういった方も多くいます。薬局業界も不景気なのか募集を掛けると比較的早く紹介がある。事務員にかなり多くいます。薬剤師もいることはいますが、とにかく事務員に多い印象があります。それは退職金をもらっていないパターンです。若くして中小企業に入社してしまい、大手のやり方を知らないままに「こんなものなのか」という待遇で働かされている方です。
経営者側も理解していないのかもしれないです。中小企業退職金共済事業のことを。うまく活用すれば経費効率もあがり、従業員のモチベーションアップもつなげることができます。
中小企業退職金共済事業
中小企業退職金共済事業とは
中小企業者の相互共済と国の援助で退職金制度を確立し、これによって中小企業の従業員の福祉の増進と、中小企業の振興に寄与することを目的としています。事業主が中退共と退職金共済契約を結び、毎月の掛金を金融機関に納付します。従業員が退職したときは、その従業員に中退共から退職金が直接支払われます。(中小企業退職金共済事業HPより)
つまり企業が毎月の積み立てを行って、中退共が運用して退職金を支給してくれる制度です。
退職金でもらうメリット
退職金は税控除のメリットが大きいので給与としてもらうよりも最終的に従業員の還元率が高くなります。下記が退職控除の計算です。
勤続年数 | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円×勤続年数(最低80万円) |
20年超 | 70万円×(勤続年数-20年)+800万円 |
つまり最初の相談の6年勤務の方では240万円までは、そのまま240万円を手取りとして受け取ることができます。
メリット
- 掛金は、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費として全額が非課税あつかいとなる
- 掛金は16種類あり、5,000円~30,000円まで幅広く調整できる
- 掛金を納付し始めて3年7ヵ月以上を経過すると運用利息と付加退職金が加算され、掛金納付額を上回る退職金が支給される。
- 加入後は面倒な手続きや事務処理がなく管理がかんたん。掛金は口座振替できるので手間がかからない。
- 会社が初めて中退共制度に加入するときは、1年間、掛金の半分を国が補助してくれる
- 掛金を増額するときも、増額分の3分の1を1年間、国が補助してくれる
- 余計に積み立てる心配もなく、金額などクリアになるので不公平感がなく支給できる
デメリット
- 従業員の理解を得るのに時間がかかる(制度について説明が必要。さらに退職金ではなく、給与を上げてほしいという従業員ももちろんいる)
- 固定費が増える
- 掛金を納付し始めて1年未満で退職した従業員には退職金がまったく支給されないが、納付した掛け金は会社に返ってこない
- 1年以上2年未満で退職した場合は掛金納付総額を下回ってしまう
- 掛金を減額するには従業員の同意が必要になり減額が難しい
- どんな辞めかたをした従業員にも退職金が支給されてしまう
- 懲戒解雇など特別に認められた場合は退職金の支払いを止めることもできるが、納付した掛け金は中退共に吸収され会社に返ってこない
加入方法
近くの金融機関で加入申込書を入手して、金融機関に提出するだけでできます。
加入は非常に簡単です。
まとめ
従業員を雇用している薬局の経営者の方は、中小企業の人員確保は時間も労力も掛かるので、1つの企業に長く働いてもらうメリットになる福利厚生を取り入れてみるのはいかがでしょうか。中退共なら損金で節税効果も見込めてさらに長期にわたる就業メリットを従業員に示すことができます。この機会に是非チェックしてみてください。
【参考】中退共のwebサイト
職員として働いている方は、退職金がある企業なのかなどの社内のルールをチェックしてみても良いと思います。もし、このまま継続して働いても、昇給や退職金が望めない場合には再就職してみるのも良いと思います。