私の薬局では従業員とその家族に関わる薬代を無料で提供しています。しかし、この制度に対して、大手チェーン調剤薬局で勤務している方が面接に来た際に「それはダメです」と言われたことがありました。本当にダメなのでしょうか?
他の薬局ではどうだろう
では実際に他の薬局ではどうでしょうか?インターネットで検索を掛けてみると福利厚生の部分に山ほどの情報が出てきます。ちなみに日本調剤の場合にはこのような記載になっています。
「よし、他の大手でもやっているから大丈夫!」というのは危険もあるので根本のルールから確認していきましょう。
なぜ「ダメ」だと言われたのか
なぜダメだと言ったのかは簡単です。その方はきっと薬担規則に沿って教えてくれたのでしょう。
(経済上の利益の提供による誘引の禁止)第二条の三の二
保険薬局は、患者に対して、第四条の規定により受領する費用の額に応じて当該保険薬局における商品の購入に係る対価の額の値引きをすることその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、当該患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。
2 保険薬局は、事業者又はその従業員に対して、患者を紹介する対価として金品を提供することその他の健康保険事業の健全な運営を損なうおそれのある経済上の利益を提供することにより、患者が自己の保険薬局において調剤を受けるように誘引してはならない。
この制度について個別指導で確認してみた
実は個別指導の際に聞かれることがあります。
「誰かの薬代を無料や割引にしていませんよね?」
2回目の個別指導の際に聞かれた覚えがあります。そのためにこの制度について聞いてみました。
指導官の回答としては「無料や割引にしてはいけません」ということでした。
しかし、「無料や割引ではなく、負担額をもらった後に会社が福利厚生等で支給するということに対して、特に違反などはありません。もちろんあなたの会社は従業員から一度お金を頂いていますよね?」
言葉遊びのような回答であったがポイントは下記のところにあると思います。
無料や割引は薬担規則に違反する。
ただし、割引などをせずに後日の領収書の精算に関しては特に規定はない。
この制度の運用上の注意点
この制度に関しては考え方は異なるかもしれません。こういった回答があったとしても福利厚生で認めないというところも多いと思います。
この制度を運用していくために、各店舗では必ず負担金を徴収するよう指示しました。そのうえで、薬代の負担を福利厚生費でお願いしたい人だけが領収書で精算をするという流れで帳簿を作成しています。
従業員の健康をサポートするのも会社の運営にはとても重要な使命になります。
この制度を活用して社員の満足度を上げてみるのはいかがでしょうか。