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AさんとBさんは仲が悪い

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「私は○○さんとはうまくやっていく自信がありません」こんな相談を従業員からたまに聞きます(本当にたまに)。内心は「仕事なんだから割り切りましょうよ」と思いつつも、全く何もしないのでは従業員にも示しがつかないのであれやこれや試行錯誤して提案します。

管理薬剤師と相性が悪い、事務員との相性が悪い、同僚との相性が悪い、事務員同士が仲が悪い、色々なパターンがあります。そして何名かの人員がこの『人間関係』について口にしてきました。

人間関係を打開するために考えていくべきことは過去の偉人達もいろいろなアドバイスを残しています。

アメリカの経営学者イゴール・アンゾフならこう考えるでしょう

AさんとBさんは両者ともにとても仕事ができます。ただし、性格が合わない。

Aさんの得意領域とBさんの得意領域は異なり、Aさんは企画遂行力やスピードに優れて、Bさんはデザインや患者対応に優れていました。2人の多角的な得意領域は会社に新しい考えを生んでくれるに違いない。

そして私は思いました。

それぞれの得意領域をうまく汲み取り合わせることで、1+1が3にもなるのではないか。これこそシナジー効果だ」と。

シナジー効果とは

「シナジー効果」とは、複数の要素が組み合わさることで、一つの効果以上に結果をもたらすことができるという理論を意味します。日本語で相乗効果と呼ばれ、現在、多様なシーンで取り入れられている考え方の一つです。

ビジネスの場面に至っては、M&A(合併・買収)やアライアンス(業務提携)によって事業を有利に展開できたり、企業内の各部署が連携することによって画期的な商品やサービスを産み出したりできるなど、さまざまなシナジー効果がみられます。

元々シナジーは、筋肉や神経などが協働的に作用して相乗効果を生むという生理学の用語として扱われていました。しかし、米国の経営学者で、経営戦略の父と呼ばれるイゴール・アンゾフが、シナジー効果の考えをビジネスの世界に取り入れたことで、ビジネスシーンでもその理論が注目されるようになりました。

シナジー効果を生むためには

私の好きな著書であるスティーブン・R・コヴィーの「7つの習慣」でも第6の習慣には「シナジーを創り出す」があります。


相乗効果を創り出すためには、双方が満足できる解決策を見つけるまで、話し合いを続けることだ。その結果、各自が最初に提案した解決策よりも優れた案が生まれる。それは妥協をはるかに超越したものになる。

引用元:7つの習慣 「第6の習慣 シナジーを創り出す」

まずはコミュニケーション、そして課題に向けての策の探索、互いの意見を尊重しつつ第3案の解決策の立案、最後に協力することによって得られる成果に対する報酬について話しました。

コミュニケーション

まずは互いの意見を聞くために意見を吐き出してもらいました。この際にはお互いの意見に対して「Yes」を基本として、自身が生活の中で優先しているものなども出してもらい、譲れない点・妥協できる点といった個人の価値観について話してもらいました。これには時間も掛かるのでランチミーティングの形を取って少し良いお弁当を発注し、業務として残業代も支払い実施しました。

お互いの価値観なども理解をして、個々の業務の得意分野、苦手分野、仕事に対する優先順位を確認できた上で、さらにお互いの私的な理解も必要だと考えて、私とAさんとBさんの3名での会食も提案し、複数回に渡り飲食を伴ったコミュニケーション施策も行いました。

課題に向けての策の探索

このときの1つの課題が地域住民の集患でした。

立地条件が悪いのではないか、存在の周知徹底ができていないのではないか、薬局機能が住民に伝わっていないのではないか、薬局の使い方を知らないのではないのかという課題がAさんBさんから出されたので、その課題に対しての策を2人に考えてもらいました。

互いの意見を尊重しつつ第3案の解決策の立案

そして地域住民への薬局利用の啓蒙活動のためのイベント立案、イベントに対する広告活動、さらにこのイベントを成功させるべくAさんの実行力とBさんのアイデアとデザインを兼ね合わせた解決策を2人から導くことができました。

協力することによって得られる成果に対する報酬

そのときの通常の事務の賞与は月額基本給×2ヵ月+特別給(会社の業績に応じて0~15万円)としていましたが、成果の報酬として目標の達成時には さらにボーナスとして2人だけの特別な手当てを渡すことを約束しました。

そして結果は

イベントは完璧とはいかないまでも概ね成功しました。そしてそこからの新患の獲得も行うことができ、12月の賞与の際には2人に特別手当として報酬も支払いました。

そして、その3ヵ月後にBさんは退職しました…とさ。あーぁ。

つまり、結果は大失敗です。私が考えていた「イベント前にお互いを知り」、「イベントを通して同じ目標を共有し」、「その課題をクリアして」、「その成果に対して報酬を獲得する」という一連の流れは全部失敗でした。何1つとして私の思い描く形になっていませんでした。

従業員に対するアプローチは非常に難しく、人間関係のもつれは修復が難しいことを痛感しました。

バカの壁の著者養老孟司ならこう考えるでしょう

Bさんが退職してからCさんが入社しました。

AさんとCさんも両者ともにとても仕事ができます。ただし、性格が合わない。

自分の仕事に他人を入れない人もいるが、うまく組んでやっていくしかない。それで周りもなんとかやっていける。もしその人が大きな広い場所を占領しているのであれば、別の場所を見つけてきて周りに提供してあげるしかない。ある一定の余裕を持たせるのが上の立場の人間の責任である。お互いの仕事がぶつかってうまくいかないのであれば、別々の場所で競争させるのが一番うまくいく。管理者の仕事はぶつからないように別々に活かすことを考えること。

引用元:養老孟子 講演内容より

そこで私はAさんとCさんに対して別の仕事を割り振ることで、ぶつからずお互いを競争させようと試みてみました。

すぐに結果発表

Cさんが辞めました…はい。

最終的な結論

私が考えた最終結論は少人数が良い。この点に尽きます。失敗ばかりですみません。

人間関係は本人たちもつらいと思いますが、巻き込まれてしまうと上司の立場でも精神的にきつくなります。こういった心理的な負担は経営面でも大きなマイナスとなります。そもそも接客の中でギスギスした雰囲気は患者に伝わってしまいます。いつか少し人員に余裕を持たせたいと考えていますが、小規模経営のうちに人を増やすと余計な仕事が増えるかもしれません。

自身と性格の合う人材も重要ですが、自分以外の従業員との相性や価値観も人事採用の際は注意するようにしましょう。

2人の間には何があったのか

AさんとBさんは昔は仲が良かったのです。飲み会でも隣に座って2人で話をしていました。年も近かったので休憩も2人で取っていました。

少し関係が悪くなってきたときにAさんにBさんと何があったのか聞きました。「急に挨拶をしてこなくなったり、仕事中も伝達しなくなったり、こちらからの一方通行になったので少し距離を置くようにしました」ということでしたので、挨拶とかは重要なのだと思いました。

辞めるときにBさんにAさんと何があったのか聞きました。「私が推しているジャニーズのグループのメンバーを悪く言われて距離を置くようにしました」ということでしたので、人間関係は難しいなと思いました。