私がTwitterをスタートしたのは2年ほど前でしょうか。Twitter上でのやり取りでよく見かける光景があります。これを知っておけば相手の「論点ずらし」の構造を理解することができ、相手の稚拙な反論に対しても対応することが可能です。
ちなみに論点ずらしは相手が気づいていて行っている場合と、相手が気づかず論点がずれてしまっている場合があります。
論点ずらしを理解してみよう
よく見る藁人形論法を理解しよう
例題:薬剤師は外来業務だけでなく、もっと在宅業務も取り組むべきだ
これを例にとって考えましょう。Twitter上この文章が出てきたらどう反応するでしょうかか。ここで出てくるのが藁人形論法です。
薬剤師は外来業務だけでなく、もっと在宅業務も取り組むべきだ
外来業務を軽視するなんてとんでもない薬剤師だ。外来業務をゼロにすることができるのか?応需義務違反は薬剤師法第21条違反ですよ
これに似た経験はないでしょうか。これが藁人形論法です。
藁人形論法は「相手の主張を歪めて解釈し、その歪んだ主張に対して攻撃する論法」です。
それでは今回の発言者の主張は何でしょうか?それは、薬剤師はもっと在宅業務を積極的に取り組むべきというものでした。
この歪められた意見に対して攻撃してくるのが藁人形論法です。
「薬剤師は外来業務だけでなく、もっと在宅業務も取り組むべきだ」という要点は「在宅を広げたほうが良い」です。しかし、藁人形論法では最初の要点は無視されています。
勝手に膨らませた論点に対して怒りをぶつけてきているのです。国語力が足りていないのかもしれませんし、あるいは被害意識が強くねじ曲がってしまっているのかもしれません。
他にも「論点ずらし」は多くあります
他にもこんな論点ずらしがあります。
患者待たせてるのに勝手に休憩入りやがった。あのボケ薬剤師は使えねぇな。
こんなことをTwitterで発信したとしましょう。この方も多少言葉は悪いですが、この文章の論点は「患者を待たせているのに休憩に入るのはいかがなものか。休憩に入るなら何か言ってから入るべき」という内容です。
※今はこの意見が正しいか正しくないかは論点とは異なりますので割愛します。
これに対しては3タイプの論点ずらしパターンが存在します。
トーンポリシング
こんなふうに同僚にボケとかいう薬剤師と働きたくないよね
トーンポリシングは相手の主張の中身には触れずに、その口調に対して意見を述べてくる手法です。この論点ずらしは「意見の正当性」は関係なく、「意見の発信方法が適切か」という形になっています。
これをやってしまう方は、感情的な発言に対して、物事の本質の部分をシャットアウトしてしまうので、永久に本質をとらえることができない悲しい生き物です。善意から行っている方もいるようですが、自分自身の行っていることが論点ずらしであることを理解したほうがよさそうです。
お前だって論法
お前も2年前の花粉症繁忙期にディズニーランド行ってたツイートしてただろ(過去のツイート貼り付けー)
なんとしょうもない。他人の過去の発掘調査をして何が楽しいのだろうか。
こういうことって日常生活でもよくありますよね。私の子どもたちも叱られると「だって弟が…」「だってお姉ちゃんが…」と言い合っています。大人ならわかると思います。「だって○○が…」なんて言っても自分を正当化させることはできません。
もしお前だって論法を正義だと思っているなら、自分自身もいつか言われる十字架を背負うことになるからやめておいたほうが良いですよ。
ご飯論法
「ご飯論法」とは、議論の際に追求を逃れるため、わざと論点をずらして回答することです。「朝ごはん(朝食)は食べましたか?」という質問に対して、実際はパンを食べたにもかかわらず「ご飯(米)は食べていない。」と答える例から「ご飯論法」という名前がつきました。
今回の例では先ほどのツイートに意見をしてきた方に対して、「それならあなたは混雑時に黙って休憩に入る薬剤師をどう思いますか?」と尋ねたときに行われます。
それならあなたは混雑時に黙って休憩に入る薬剤師をどう思いますか?
私の職場では薬剤師4名が休憩時間を30分ごとに分けて取っています
こういう感じです。この薬剤師をどう思うかという問いに答えていません。ご飯論法は相手の質問の意図を曲解することで相手の追及をかわす手段で用いられます。意図的に逃げているのか、そういう性格なのかはわかりませんが、非常に不誠実な方という印象を受けます。
論点ずらしは理解できたでしょうか
以上が論点ずらしです。
意図的にされている頭の良いかもいるとは思いますが、あまり多用してしまうと信頼を失うかもしれません。SNSでは相手の顔なども見えず、背景も見えないために、都合の良いところを切り取られがちです。発信者も注意が必要なのかもしれませんが、受取手も空いての論点についてキチンと理解することが重要です。
過去の私のTwitterで論点ずらししていることもあるかもしれませんが、それは私に報告しないでください。もし報告されたら「お前だってこのツイートがー!」と返します。
色々な方がいるSNSの中で単なる「論点ずらし」に心を痛めることなく楽しみましょう。